植物たちも生きている

始まりは…何か忘れた~スイカ~

 私は勉強なんて大嫌いな子どもだった。小学校も中学校も自主勉強なんてまったくしていなかったと思う。よく宿題忘れて怒られた記憶が微かにある。あ、でも小学校高学年ではなんか頑張った気もする。

 そんな私の日常は外で遊ぶことが多く、裏山を駆け巡ったり、近くの公園で遊具を乗り回したり、船着き場で勝手に船に乗り込んだり、とにかく家にこもる時はゲームをする時くらいだった。

 自然は好きで。何が好きって、なんでだろ?説明はできないけど好きだった。あまり覚えてはいないけど、聞くところによると、祖父母が少し農業をやっていてその手伝いをよくしていた、らしい。そんなに深くは覚えていない。でも、確かに覚えていることがある。


 それは、スイカ。


 スイカの収穫を手伝った記憶。

 家から少し離れた小高い所にある畑に軽トラで行って、そこは周りを林に囲まれた誰もいない静かな畑で、カラスや獣除けのネットの中にある大きなスイカを指ではじきながら収穫の頃合いを見極めて。祖父母がツルを切って、まだ幼稚園か小学校低学年か(祖母が小学校四年の時亡くなったのでその前だ)、小さな身体でどうやって運んだのか分からないけど、母の記憶にも私が運ぶのを手伝ったと記されているのでどうにかこうにか運んだのだろう。そんな記憶が私にもある。

 昔のおばあちゃん風の、手ぬぐいを頭に被って作業する祖母。今書いてて当時の祖母の姿がじわじわ蘇ってくる。

 

 スイカは今でも好きだ。大好きな野菜の一つである。(スイカは野菜です!)

 たぶんちゃんと味を確かめれば、やはりちゃんとした農家のスイカの方が甘くておいしいに決まっているけれど、当時も、そして今もし食べれたとしたら、やっぱり祖父母が作ったスイカが一番おいしいであろう。

 余談だが、大学時代に教授がスイカカレー、スイカシチューの話をしてくれた。え!?っと思うかもしれないが、スイカの水分量は九十パーセントに近い。ウォーターメロンといわれるだけあって、日本では甘味重視だが砂漠地帯では貴重な水分源だそう。つまりカレーやシチューの具材ではなく、水の代わりとして使う話である。どのみちほぼ溶けるので原形は残らないです。(友人とやりました)


 とどのつまり、私の植物や野菜、ひいては農業に興味がわいたのは祖父母の存在があったからである。残念ながら、途中まではそのような傾向であったけれども祖父母と同じ道を歩むことはなかったけれども、今日こんにちまで植物とともにあり続ける私がいるのは偉大なる祖先のおかげなのである。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る