黄金虫
木の上で、
「そういえば、この間、お前が連れてきた生き物は、変だったな!」
仲間の一匹が言う。
「ああ、あんなみにくい奴、初めて見た!」
他の仲間も同意し、言われた黄金虫は笑って答えた。
「だろ? 面白がってもらえると思ったんだよ!」
――いや、本当は違う。
小川を流れる
可愛い、と思ったのだ。
こんなに可愛い、珍しい娘をみんなに見せたら、羨ましがられるに違いない、と。
しかし、娘を見た仲間たちは、口々に言った。
――足が二本しかないのは変。
――触角がないのは変。
――身体が細いのは変。
――自分たちと同じ姿をしていないものは、変。
みにくい、みにくい、とはやし立てるのを聞いているうちに、だんだん、自分の感覚が信じられなくなってきた。
何より。
この娘を可愛いと思った、ということを仲間に知られたら、自分まで変だと思われてしまうのではないか?
そう考えると、急に腹が立ってきて、乱暴に娘を
「また何か面白いもの探してこいよ。期待してるぜ!」
「任せとけ!」
黄金虫は明るく言う。次こそ、みんなに羨ましがられるものを、見つけてくるのだ。
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