現代のイカロス
脱出を決行する日がやって来た。心配性の父ダイダロスは忠告した。
「イカロス、空を飛ぶにあたって気をつけないといけないことがいくつかある。まず、海の近くを飛びすぎると翼の蝋が湿ってしまう。太陽に近づきすぎれば溶け落ちてしまう。中くらい、と言っても地表から2キロの層のエアロゾル粒子は気管支に影響するかもしれない。オゾンホールが大きくなっているから有害紫外線にはよく注意しなさい。また某国がケムトレイルを散布したようだ。不気味な飛行機雲には近づいてはいけない。ジェット気流に乗って炭疽菌の載った気球も飛んでくるかもしれない。戦闘機のスクランブル発進が起こるかもしれない。戦闘機を見つけたら戦わずに逃げなさい。イージス艦の配備も進んでいるから対空ミサイルのは射程範囲には気をつけること」
イカロスは忠告のほとんどを聞いていなかった。調子に乗ったイカロスは空をぐんぐん昇っていき、翼は灼かれて飛べなくなり、気管支不全に陥って苦しみもがき、イカリア海に配備された艦隊に撃墜されて弾け飛んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます