平日

 ①おれはいつも通り6:00に起床する。

 朝食は買い置きの菓子パンで済まして家を出る。

 今日も雑務を任される。「君はこれが一番得意だから」と毎回上司に言われるが、これは暗に「君はこれしか出来ないのだから」と言われているのだ。知らないふりをする。

 五時に会社を出る。飲み会があるみたいだがおれには何の連絡もなかったのでそのまま帰る。


 帰宅途中に風呂敷を敷いた怪しげな露天商がいた。かなり怪しげだったためおれはそのオヤジに話しかけた。

「こんばんわ」

「おう、あんちゃん。よう来た」

「なにを販売しているのですか」

「そりゃ、ここではなんでも置いとるで。『なんでも』願い叶えたるで」

 風呂敷の上には古びたブレスレットや三叉のランプや歪な針のレコードプレーヤーなど奇天烈なものばかりだった。

「なんや、どないしたん。疲れてはんな。なんか困っとるんとちゃうか」

「いや、別に」

「言うてみい。力になれるかもしれんさかい」

「実は毎日が退屈で仕方ないのです」

「そうか。残念や。今のあんちゃんの現状を変えてやることはできん。でもな、あんちゃんが自分で変えることならできるかもしらへん」

「と言いますと」

「ここにレコードがあるやろ。こいつはただモンじゃないねん。針を動かすことによって時を越える事ができる。これで好きな時間に戻して、やり直せばええねん」

「本当ですか」

「あっ信じてないな。騙されたと思てつかってみいや」

 言われるがままにおれは針を①と書かれたところに戻した。

(①に戻る)

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