落ちもの
ある朝目が覚めると、部屋の中のものが全て真四角になっていた。と言っても、別にテレビは普通に観れるし、扇風機も何とか動作する。困ったことといえばバランスボールの存在意義が失われたことと、視界の左上によく分からない
「SCORE 0//LINE 0」
というのがチラチラするくらいである。
今日も普通に四角いパンと四角い目玉焼きを食べて、四角いスーツに四角いブーツを履いて四角い家を出た。会社では女性社員に四角いボールペンを「オシャレですね」と褒められた。
おかしなことが起きた。四角いボールペンを二本落とすと、小気味よい効果音が鳴ってパッとボールペンが消えたのだ。左上は
「SCORE 40//LINE 1」
に変わっていた。
帰宅すると「なんか降ってきたんスけど」と隣人にキレられた。コンクリブロックのようだった。おれのせいではないと思うが、揉めると厄介なのでペコリと謝った。
ある日、大きめの地震が起きて、机の下に隠れた。すると、目の前で飛び交う家具が次々あの小気味よい効果音と共に消えてしまった。私は悲鳴を上げたが消失は止まらない。中には「TETRIS」と謎の表示が残るものもあった。
揺れがおさまると家の物はほとんど消えてしまっていた。左上は
「SCORE 52700//LINE 195」
になっている。
空っぽの家から出て、この間怒鳴ってきた隣人の家を見ると、大量のブロックに潰され「GAME OVER」と表示されていた。
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