第4話桃源郷は寂しいでしょう
欲に飢えた肉体と利便性を求めた文明にサヨナラを告げ、明瞭な会計を終わらせ人骨に響く言葉の快楽に君は何かをみつける。
それがなんなのかはよくわかっていない。わかっていないから旅に出るのだ。そのために人間は二足歩行でそれにもまた意味が存在して、言語と細胞は全てを三次元化の可視に、或いは寒さで打ちひしがれた子供達が最後にすがる肉親の飢えて焦げた顔ハゲた爪、求めるために求めるのではなく、利便のために生きていると化した戦時下の黒い盾と鉾。純を傷つけるために舐め合う、人の獣性と鳴り止まない銃声についての記述。
「あなたは誰ですか?此処は何処ですか?」
「私は求めるものを受け入れるもの。地球の母。エネルギーの源。」
「あなたは元気ですか?ちゃんとご飯を食べていますか?」
「私は消費されていくもの、私の夫もしかり。私の子供もその運命にある。」
「それを止めることはできますか?」
「質問1あなたの生活はシンプルですか?」
「シンプルだよ。朝起きてご飯食べてランドセル背負って、学校行って、つまんない授業と楽しい友達との遊び。帰ってきたらテレビゲーム。」
「あなたから友人を奪ったらどうなりますか?」
「友達がいないと寂しい。」
「あなたの生活は、友達がいないと寂しい。様式は破壊され、代償がある。」
「音楽の授業は嫌いだからいらないけど。」
「音楽の授業は必要ない、なぜに?」
「歌うのって恥ずかしいし、リコーダーって難しい。好きなこと以外いらないね」
「好きなこと以外捨てることはできますか?」
「できるよ!ところでなんの話をしてたんだっけ?・・まあいい・・とりあえず1g5000円からだから。自販機裏で渡す。」
その翌日都内の X川でワニが発見された、アナウンサーが言うにはこのワニはまだ人間でいうところの10歳くらいの子供で、誰かがペットとして育てたものを捨てたらしい。私はその川の向こうと向こうを繋ぐ橋の真ん中の鉄柱に鎖で繋がれ毎日腹を空かしている。飢えているという点で私は君と大して変わりはないんだ。
私の変わりはきかないという話は街行く人に問いかけても誰も聞いていないんだ。此処から抜け出したい。
やはり朝まで眠ることができない。夜はターンテーブルから漏れるビッチズブリューを聴き漏らさぬような、或いは通りがけの人のまばらな影の中へ。
俺は深く吸い込みストーンしてコンビニ前で目がトローンとしていて、そのコンビニはもう何年も前に潰れていて、何年も前に店長が拳銃で殺され、売上金と日銭暮らしの男のパチンコ代と弁当代、それが一体何故男の手に拳銃が握られていて、孤独は空っ風に吹き飛んで、窓を閉めてもう一度火をつけて、赤い目で俺は”捨てた男”として生きている現状を認識して、ハシシの先を一階の父の遺影の前で線香がわりに、俺は無言でその静寂をよく掴んだ瞬間には離して、また余白を風であやして乾いた風が凪ぐ空へ、天井の上にいる無辜の同胞と分かり合えないことを認識した瞬間。カーテンを破って道無き道を歩く。
それはまるで歩く行定で発生する無意識化の剥離。つまり無意識に何処かへ向かって歩いていることについて。たどり着けないまま死んでいったものたちをかき分け、天竺の芭蕉のような、下等のアイズワイドシャットと乱の兜とダクトを抜けて、官能を指す道を見つけては、肉体の欠落を忘れてまでも、時に女の身体と身体を擦り付け合い、なぶり、膣燻り、さんさん録の黙示録を一滴の水彩に落としたドローイングのような静寂の中で、精子は泳ぎ、宛名のない手紙を毎日毎日、飽きることなく、無心になって、ペンシルが砕けても心は欲しがるようにまた吸い込んで、俺の放った無垢は残酷な殺人犯の予告で。
何が俺をそうさせるのか?答えを求めて宛名のない手紙をポストに送り、とっくに忘れた頃にあいつから連絡が来る。その頃俺はもうネタ無しでは生きていられなくなり、意識が飛ぶまでハルシオンのある城や、コデインSTを卸売価格で購入し、酩酊で溶けた俺は「おはようございます」を反芻している過去から戻っていた頃にはすでにとっくに答えは出ていて。吊ろうと思った。
街灯と人々の悪ノリの喧騒夜のバカ騒ぎが生むハウリングから生成した、磨りガラスの俺とその他大勢。男と女とそれ以外のなんかが発信する悪意に、俺はポケットで軍用スタンガンのスイッチを触って、イタコと素面の俺が邂逅するまでの数マイルを今すぐ確認しろ。
俺とイタコのビートボックスとフリースタイル。俺は韻を踏む言葉数多く16小節の中で血と肉が骨に変わるまでの亡霊の取り付いたドンチャン騒ぎに付き合うスタイルの独白に横目の群衆と突っかかるガキの頬をかすめる危うげな抑圧と静止画を複製するための言語念写術。もしくはケツを閉めて気合のよく歩く道端で素通りの組員の気分の悪い表情。タトゥーだらけの念仏に早口押韻泳ぐ、白鳥遊ぶ、チャッキーでも通報勘ぐり俺らもうこのバンド解散で。4649イタコのババア。あばよ青春。
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