《クライマックス》

●最後のシーン。

 いよいよ、ジャームと対面する最後のシーンである。クライマックスシーンについては『ルール1』の205ページ以降に詳しく書かれている。

 

 

●Clm『たった一つの冴えたやり方』 シーンプレイヤー:参加PC全員

(黒田君が襲ってくる体を取る場合は、PC1をつけ狙う黒田君が急襲してくる描写に変更するといい。)


 倉庫の中に踏み入ると……濃密な血臭と、獣臭が漂ってくる。

 その奥に居たのは……暗がりに佇んでいる、一人の少年。

 “ストレイドッグ”、黒田俊之。


「はぁ……はぁあぁああ……!! くそ、クソッ……!!」


 最早、精神的ストレスからか、髪は真っ白に脱色している。

 荒い吐息を吐きながら、“ストレイドッグ”は……血だまりの中で、佇んでいた。

 

(PC1がいるなら)

「!? は、ははは、なんだ、PC1じゃないか! のこのこ殺されに来やがったのか!?」


(PC1がいなければ)

「……!? なんだお前ら、もしかして、僕に殺されたいのか? そうだろ!? きっとそうなんだろ! ははははは!!」

 

 口角泡を飛ばしながら、“ストレイドッグ”は笑う。

 その右手は……完全に異形化し、獣の剛腕と化したそれ。

 君達にも直感で分かる。

 あれは……最早、不可逆な変異だ。

 二度と、元になど戻らない。

 ……恐らく、その心も。

 

「この右手が勝手に殺しやがるんだ、はははは……でもよぉ、いい気分だぜぇ!」

 

 泣きながら、“ストレイドッグ”は嗤う。

 ただ……大声で、嗤う。


「僕の事を小馬鹿にしてやがった陸上部の連中とかが、たすけてぇ~!! なぁんて泣きながら、勝手に死んでいくんだ……おもしれぇよなぁ? 僕の事、一時期はイジめてたこともあったくせによぉ」

 

 君達が何を言ったとしても意にも返さず、どこか愉快気に。

 

「いざ自分が甚振られる側になったらあの有様だ。爽快だったぜぇ……へ、へへへ」

 

 どこか……寂し気に。

 

「母さんと父さんもだよ!! いっつもいっつも、妹の!!! エリとくらべて僕の出来が悪いからってガタガタ抜かしやがって! いつも、優しく……憐みの目で僕を『見』やがって!! そんなに、受験に失敗したのがダメだったのかよ!? 僕だってがんばったよ!! でも、エリは……エリと僕は違う……違うんだよ、母さん……!」

 

 右手がどくどくと脈打っている。

 血塗れの右手。最早ただの殺戮の道具と化したその右手が……毒々と。

 

「僕は! ただ、僕にしか出来ない事をしたかっただけだ! 誰にもバカにされないように! 母さんと父さんにも胸を張れるように!! エリにも負けない様に!! ちゃんと頼れる兄貴として認められたかっただけだ!! だから、だからクソ、エリ……まってろ、すぐに父さんと母さんにもさ……『見せる』よ、家に待たせちゃってるもんな、はやく、はやくかえらなきゃ……邪魔するな、邪魔するなよ!!」


(PC1がいる場合)

「それ以上、僕を『見る』なぁあぁあ!! PC1!!!」



 そう“ストレイドッグ”が叫ぶと、赤褐色の《ワーディング》が展開され、その身体が灰の体毛に覆われる。異形の怪物と化した今の“ストレイドッグ”には、最早、黒田俊之の面影は微塵もない。

 ジャームの殺意の衝動が……レネゲイドを励起する。

 


●衝動判定

 一通り、“ストレイドッグ”との対峙や戦闘前のロールプレイがすんだら衝動判定を行う。衝動判定については『ルール1』の213ページを参照のこと。

 それが済んだら次の章に移る。

 いよいよ戦闘である。


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