《オープニング》

●基本的な約束事

 シーンプレイヤーは原則として必ずシーンに登場する。シーンプレイヤー以外のプレイヤーがそのシーンに出たい場合は、シーンプレイヤーに出ていいかどうか相談して、OKを貰ったなら登場しても構わない。

 シーンに関するルーリングについては『ルール1』の202ページを参照すること。

 特に登場時の侵蝕率上昇は忘れがちである為、きちんと確認しよう。

 なお、セッション開始時の侵蝕率は侵蝕率基本値の値が参照される。

 また、該当するシーンプレイヤーが存在しないシーンは丸ごとカットして良い。

 この約束事は以降の章でも適用される。



●Op1「部隊全滅」 シーンプレイヤー:PC2のみ

 君の所属するUGN部隊は町はずれの森林公園にて、ジャーム“ストレイドッグ”の包囲に成功した。血臭漂う夜の森林公園に人気はなく、仮に誰かいたとしてもオーヴァードでなければ簡単に《ワーディング》で無力化されてしまう。ただでさえ強力な“ストレイドッグ”の《ワーディング》は一面を仄かな赤褐色の薄光で染め上げ、人間だけでなくUGNのエージェント達ですら衝動に狂わせる。


「くっ……! エフェクトの制御が……!」

「だ、ダメだ、衝動が、暴走して……う、うわああぁぁ! お、俺は違う! 俺は、俺は誰も殺してない!! アイツはジャームだったんだ! ジャームは人間じゃない……だから、俺は、俺は……!」

「いや、いや、こんなところ居たくない! こんな風に生きたくなかった! 死なせて、私を死なせてよ……!」

 

 同じ部隊の仲間たちが次々と衝動に飲まれ、狂っていく。まともに理性が働かず、かといって素直に衝動に身を任せる事もできないオーヴァードなど、ジャームから見れば毛ほどの脅威にもならない。

 一人、また一人とその爪牙に掛かり、“ストレイドッグ”はジャームの名に恥じぬ狂瀾を演じて見せる。灰色の体毛に覆われた二足歩行の巨獣は、遠慮なく君の仲間達を喰らい、藁を刈るように鏖殺していく。仮に君がここで“ストレイドッグ”を攻撃したとしても……傷一つ与えられないだろう。

 

「に、逃げろ、PC2……おまえ、だけでも……!」

 

 辛うじて正気を保っていたベテランエージェントが君を庇い、前に出る。彼は君にはもう振り返りもせず、“ストレイドッグ”へと突貫していく。

 それが、君がみた……彼の最期の姿だった。

 

 それから、二時間後。


 君を庇うように倒れていた仲間の亡骸の下で……幸か不幸か、君は目覚めた。

 何とか、生き残ったのだ。

 生き残って……しまったのだ。

 


●Op2「死からの再生」 シーンプレイヤー:PC1、PC3のみ

(最初はPC1の単独シーンから始まる。)


 黄昏時。

 一度赤信号に捕まると結構長い事で有名な交差点で、君は足止めを喰らっていた。

 横断歩道は赤信号に閉ざされ、今も車が疎らに往来している。

 そんな退屈な交差点の向こうに……彼は立っていた。

 君の知人、黒田俊之。ごくごく一般的で、気弱な男子高校生。

 そんな黒田が……君と目があった途端、目を見開いて飛び出してくる。

 赤信号の交差点。当然、交通量が少ないわけではない。

 だからこそ横断歩道が設置されている。

 故にこそ、急に飛び出した黒田の側面を……貨物トラックが捕らえるのは当然の帰結でしかなく――。

 

 交差点を満たしたのは、悲鳴。


 その悲鳴をあげたのは、黒田……ではない。

 悲鳴の発生源はトラックの運転席。そこに居たのは……突き出したフロントに身体を押し潰され、絶叫を上げ続けるトラックの運転手。

 半死半生のトラック運転手を……交差点の中央で、つまらなそうに見ている黒田。

 その右手は灰の体毛に覆われた異形の獣腕と化していた。

 アンバランスに肥大化した片手一本でトラックの運動エネルギーを完全に受け止め……その反動全てを受ける羽目になったトラックは、まるで巨木に正面衝突でもしたかのようにひしゃげていた。

 

「うるさいな」

 

 一言だけ、黒田がそう呟くと同時に、黒田を中心に世界が赤褐色の光に染め上げられ……運転手の絶叫が止む。突如の事に唖然とする他なかった通行人や野次馬達も、赤褐色の光に触れるなり、あるものは気を失い、あるものは興味なさげにその場を立ち去り、あるものは視線を明後日の方向に向けたまま呆けた。

 突如、顕現した非日常。

 その中心にいた黒田は、また君をみて改めて目を見開き。

 

「おい、PC1なんでお前……僕を『見てる』んだ?」 

 

 直後に、その右手が。

 君の心臓を――貫いた。 


 意識がゆっくりと遠のいていく。

 不思議と、痛みはなかった。

  

***

 

(ここからPC3が合流する。PC1がいない場合はPC3はここからOPを始める。)

(また、PC1がいない場合、PC1と記述された部分は全てNPC1に置き換わる。)

(このNPC1の扱いはPC3の好きにしてくれて構わない。)

(適当な都合の良い登場人物として描写し、自由に扱っていい。) 

(逆にPC3がいない場合は、PC3と記述された部分は全てNPC3に置き換わる。)

(このNPC3の扱いについても、PC1の好きにしてくれて構わない。)

(こちらもやはり、適当な都合の良い登場人物として描写し、自由に扱っていい。)


「遅かったか……! クソッ、“ストレイドッグ”め!」


 血色に染め上げられた町はずれの交差点で、《ワーディング》を展開しながら、君ことPC3は仲間のエージェント達と共に事後処理を行っていた。“ストレイドッグ”出没の報を受けてUGN部隊と共に現場に急行したが……既に惨劇の幕は閉じていた。舞台に残されたのは哀れな犠牲者のみ。

 

「何人かまだ息があるみたいだ!」

「すぐに収容しろ! 治療エフェクトを発症しているエージェントは重傷者に応急処置を! PC3は医療班についていってくれ!」


 エージェント達がせわしなく走り回る。PC3も医療班所属の女性エージェントと共に、一人一人犠牲者の安否確認を行う。その犠牲者の中には……PC1の亡骸も含まれていた。


「この人はもう……ダメみたいね。かわいそうに」


 PC1の身体に触れたエージェントが、その死亡を確認する。

 首を左右に振り、PC3に死体の処理を頼もうとした直後。

 PC1の身体が……急速に再生し、全身に刻まれた傷が塞がっていく。


「!? こ、これは……まさか、《リザレクト》……!」

 

 そこで、PC1の意識が完全に覚醒し……その『事実』に周囲のオーヴァード達は気付く。彼らも精鋭なのだ。


「バカな、あの状態から回復するだと!?」


 PC1の周囲を囲み、エージェント達が固唾を飲む。


「なんてこった、覚醒だ……!」

「気の毒に……いや、一命を取り留めたことを喜ぶべきか……」

「ともかく……今は新たな仲間の誕生を祝いましょう。PC3、彼をこちらへ」

 

 PC3を促して、医療班のエージェントがPC1に近づいていく。

 

「はじめまして、我々はUGN……アナタのような境遇の人を受け入れる組織です。まずは、アナタの診察と治療をさせて下さい。PC3、彼を近隣の支部にまでエスコートしてあげてくれませんか? 道すがら、簡単な現状説明もお願いします」

 

 柔らかい口調でPC1に状況を説明するエージェント。

 彼女の言葉に従って、PC1はPC3の先導の元、医療班の待つ近隣の支部にまで誘導される。

 ……もっとも、仮にPC1が此処で反抗的な態度をとったとしても、彼らUGNは強制的に彼を連行するだけなのだが。


「ようこそ、非日常へ。我々はアナタを歓迎します」



●Op3『自由記述』 シーンプレイヤー:自由

 PC4がもし居た時のためのシーンである。内容はPC4が勝手に決める。



●シーンの演出が終わったら。

 それぞれのシーンでロールプレイを終えたら、導入のオープニングシーンは終了である。

 次の章に進もう。

 

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