《ミドル》

●ミドルシーンの演出について

 ミドルシーンはシーンプレイヤーが指定されていないシーンに関しては自由にPCが出入りして構わない。そう言ったシーンでは、暫定的に最初に出たPCをシーンプレイヤーとして扱う。

 また、ミドルシーンは指定されているシーン以外のシーンを自由に作成しても構わない。ロールプレイや追加の情報収集、購入判定など、PCやPLのやりたいことに沿ってシーンを作成してみよう。例えば、特定PCが他PCとじっくり話し合うために新たなシーンを作るなどは大いに推奨されることである。

 シーン登場時の侵蝕率上昇などは当然こちらでも行われるため、登場するPCは忘れずにあげておこう。



●Mid1『此岸は最早、非日常にて』 シーンプレイヤー:参加PC全員

 場面は、事件現場近隣にあるUGN支部の応接間に移る。

 PC1は、簡単な検査と治療を終えて、レネゲイドについて聞いた後……今に至る。

 PC2は、何とか命からがら帰還した後……今に至る。

 PC3は、覚醒者たるPC1(いなければNPC)を保護して……今に至る。


(それぞれのPCが存在しないなら、それらはいないものとして扱う。)

(例えばPC1のソロセッションならPC2やPC3への言及は無視していい。)

(これはPC2やPC3のみのソロセッションについても同様である。)

 

「ひとまず、落ち着いたみたいね」

 

 医療スタッフでもある女性のUGNエージェントが君に声を掛けてくる。

 

「“ストレイドッグ”は今もなお逃走中……被害は拡大を続けているわ。東京のUGN日本支部統括からも増援が来るらしいけど、万年人手不足の現状ではミドルクラス以上のエージェントの派遣はそう容易い事じゃない……出来れば、東京の増援を待たずに事件を解決したいところね。故に臨時の対策本部はこの支部に置かれることになったわ」


 女性エージェントは重苦しい表情で、君を見る。


(支部長やエージェントなどの一定地位があるキャラクターがいる場合。)

「本案件の指揮はアナタに一任されることになったわ。頑張ってね」


(相応の地位を持つキャラクターがいない場合。)

「申し訳ないけど、その件で協力してもらうことになったわ。よろしくね」


 女性エージェントは深々と君に頭を下げる。


(PC2がいる場合。)

「アナタも引き続き、“ストレイドッグ”を追って。軽く検査したけど、今のアナタは死線を越えて、以前よりレネゲイドの力が強まっているみたい……今なら、“ストレイドッグ”とも渡り合う事ができるはずだわ……でも、無理はしないでね、医療従事者としての本音をいえば、本当はアナタは休ませたいくらいなのよ……こういう時、本当にUGNの人手不足を恨みたくなるわ。医療スタッフの一人としてね」


(PC1がいる場合。)

「ごめんなさい、PC1さん、巻き込んでしまって……でも、例の“ストレイドッグ”……アナタには、黒田君といった方がいいかしら……? 彼は何故か知らないけど、アナタの事を狙っているみたい。私達と一緒に居たほうが安全だと思うわ……それに、アナタは特別な力を持っている……この町の日常を守るためにも、出来れば私達UGNに協力をして欲しいの」

 

(PC1が断った場合。)

「……そう、無理強いはしないわ。でも、気を付けて。何かあったら私達を頼ってね。家までは車で送るわ」

 

(PC1が承諾した場合。)

「……ありがとう、本当は覚醒したばかりのアナタにこんな事を頼むなんて、筋違いも良いところなのだけれどね……謝礼は期待してね、何としても上から相応の予算を捥ぎ取ってくるから」

(この謝礼については、ある程度常識的な範囲なら、PC1が望む物でも構わない。)

 

「じゃあ、早速だけど“ストレイドッグ”の足取りを追って貰うわ。私達も力の限りバックアップするから、いつでも頼ってね」

 

 女性エージェントは君に連絡先を教えてくれる。

 仮に通信端末を持たない場合でも、ここで貸し出してくれるだろう。


「一緒に……日常を守りましょう」


(この支部はアイテム「セーフハウス」として扱う。望むなら、誰かPC一人が即座に獲得して良い。仔細は『ルール2』の194ページ参照のこと。常備化しない限り、このアイテムはセッション終了時に失われる。)


●Trg1『襲撃』 シーンプレイヤー:PC1  

 発生条件:PC1がUGNへの協力を断る。


 UGNの護送車に乗せられ、PC1が家に送られている最中……突如、車道に飛び出してくる影が一つ。


「う、うわああ!? い、いきなり、なんだ!?」

 

 運転手が悲鳴と共に急ブレーキを踏むが、間に合わない。

 飛び出した影はそのまま強かに護送車と正面衝突して……こちらのフロントが押しつぶされる。運転手はそのまま絶命し、物言わぬ屍と化した。

 まるで、PC1が目覚める前の繰り返し。

 宛ら、デジャヴ。

 そこに居たのは。


「また、僕を『見たな』、PC1……見つけた、見つけたぞぉお!!」

 

 ……“ストレイドッグ”、黒田俊之。

 君の心臓を握り潰し、一度君を死なせた男。


「ぼ、僕は……前から! 前から、お前が気に入らなかったんだ! どこまでも、どこまでも追い詰めて……絶対にお前を! 気に入らない目で僕を見たお前を殺す!! 殺してやるからなぁ!!」

 

 焦点の合わない目で一方的に喚き散らし、君がたとえ話しかけたとしても、彼は何も聞き入れはしない。以前の様子とは全く違う。今の彼は完全に錯乱し……理由にもならない理由で君に殺意を向けている。


「ぜ、絶対に、お前を……あがが、ぐあああ! 血が、血が足り、な……く、くそ!! くそぉお!」

 

 突如、“ストレイドッグ”が苦しみだし、そのまま脱兎のごとく……いずこかへと消えた。

 彼が何を思って自分に殺意を向けているのか、君にはわからないかもしれない。

 それでも、一つだけ確かなことがある。

 ……このままでは、君は日常に戻れそうにはないという事だ。


 以後、PC1が例え積極的に事件に関わろうとしなくても……きっと、“ストレイドッグ”の方から襲い掛かってくる事だろう。

 改めて、UGNはPC2とPC3をPC1の護衛兼監視に任命した。

 PC1の監視体制はさらに強化される形になり、程なくして近隣の支部から辞令が出る。


(PC1は「情報収集チーム」を獲得する。仔細はルルブ2の193ページ参照のこと。常備化しない限り、このアイテムはセッション終了時に失われる。)



●シーンの演出が終わったら。

 とりあえず、演出が終わったらこのシーンは終了である。

 最初に言った通り、他にもシーンを作りたい場合は自由にシーンを作ってロールプレイしても構わない。

 それも済んだら、次の章に進もう。

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