エネミーデータの作成について

 最初に記載しておくが、この記事は完全にGM向けの記事である。

 

 故に、「俺は一生PL専だ」という方や、「いまのところGMする予定がない」という方は読まない事をお勧めする。

 逆に、「今度GMやるんだけどエネミーデータの組み方がわからない」と言う方には、独断と偏見に於いて、簡単な指針を此処に記しておくことにする。


 

『大前提として』

 はっきりいうが、DX3rdにおける戦闘と言う行為は「演出」の一部であると筆者は思っている。

 中には頑張って調整している方もいると思うが、少なくとも筆者はバランスもクソもないこのゲームにおいて、戦闘は基本的には駆け引きを楽しむものではなく、「戦闘シーン」という状況を楽しむものだと認識している。

 なので、「いいや、DX3rdの戦闘も駆け引きと戦略を楽しめるシステマティックなものであるべきだね!」という方とは宗派が異なるので、残念ながらそういった方々の需要を此処で満たすことはできない。

 独断と偏見でいえば、そういうのやりたけりゃ最初からボードゲームやTCGをするべきでは? と筆者は思っているし、DX3rdに於けるそっち方面の調整に関しては面倒としか思っていないので、思考停止している。

 故に、ここで紹介するエネミーデータの作成法は「お互いにド派手に演出を楽しむ事を優先した手引き」であるという事を、最初に断っておく。


 

『とにかく楽をしたいGM向け』 

●「ぶっちゃけ基本ルルブ1・2記載のデータでよい」

 一番楽チンなコースがこれである。適当にサンプルシナリオにいる春日などを出すだけでよい。PLにデータ開示を求められた際も(別にそれに答える必要はないのだが)、そのまま「ルルブを読んでね」と言えば済むだけである。データを組む手間もない。サンプルシナリオのボスデータなどを適当に抜き出し、それに雑魚のトループを2,3体お供につければ手早く完成である。


『自分でデータを組んでみたいGM向け』

●「基本はオルクス」

 オルクスの寸評でも書いたことだが、オルクスはエネミー向きのエフェクトが揃っていて非常にエネミーとして使いやすいシンドロームである。

 姿を見せずにシーンに出られる『ハンドリング』や自由自在に移動できる『見えざる道』、トループですら一線級戦力にできる『導きの華』、『力場の形成』、『力の法則』といった手厚い支援。なんでもありの『ナーブジャック』と『ブレインジャック』、そして何より侵蝕率調整に非常に都合が良い『要の陣形』の存在がありがたい。

 困ったらとりあえずオルクス混じりのボスを作れば何かと調整が楽である。


●「別に全部律儀に作る必要はない」

 エネミーデータは基本的にマスクデータである。

 故に、行動値、HP、命中ダイス、回避ダイス、攻撃力、装甲値、ガード値が最低限設定されていれば基本的には問題ない。

 コンボは開示を求められることがあるので一応作っておくと角が立たないが、面倒なら適当でいい。重ねて言うが、DXのエネミーデータは基本的にマスクデータである。マスクデータって事は、まぁ、そういう事である。

 また、事前準備が面倒な場合はミドル戦闘を挟んで雑魚をけしかけてPCの数字を見て、それからボスは調節するといい。

 

●「なるべく取り巻きをつける」

 ボス1体だけはGM側としては管理が楽だが、PCが範囲攻撃やシーン全体攻撃を持っている場合は単純に経験点を損させている。

 侵蝕率調整もボス一人だと連続行動エフェクトを大量につまなければならないので面倒である。

 取り巻きは2,3体つけたほうが結果的に何かと楽だ。

 トループ対策エフェクトを持っているPCなどがいる場合もあるため、雑魚はなるべくトループを活用しよう。


●「装甲無視、ガード無視、ドッジ不可、自動失敗、ダメージ無効などは基本的に積まない」

 PCはエネミーと違って経験点を払ってステータスやエフェクトを取得しているので、気軽にそれらのリソースが無効化されると基本的にフラストレーションになる。故にこれらを安易に積む事はよろしくない。積む場合は、せめて回数制限とかをつけておくといいだろう。撃つ際に回数制限があるエフェクトやコンボである事をPLに伝えるのも良い。「時の棺」などの使い所の示唆にもなる。 

 ただし、3回以上の回数制限はこのゲームだとないも同然なので1、2回程度にすると塩梅が良い。「クリスタライズ」などを積む場合は連続行動系のエフェクトで手早く消費しきるか、範囲攻撃などと組み合わせないなどの調整をすると良い。

 

●「能力値低下や制限は慎重に」

 エフェクトと同じく、PCのリソースは基本的に経験点を支払って獲得している有限のものである。

 デバフ=全力を制限する行為はそんなもんだから、基本的にフラストレーションになりやすい。

 計算忘れの原因にもなるので、単純に手間でもある。


●「防御能力はほどほどに」

 基本的にPCのシート見ながら積む。

 装甲無視が多いなら装甲を適度に積み、ガード無視が多いならガードを適度に積み、ドッジ無効化や高命中率PCが多いなら回避を積む。

 逆に言えばそれらがないなら装甲やガードはせいぜい一桁か10点前後程度で済ませる事を勧める。また、防具破壊エフェクトを持っているPCがいる場合もあるため、なるべく装備品で値を増加させることが望ましい。ドッジは連続成功しても気まずくなるだけなので、普段はよほどのダイス運に恵まれなければ避けられない程度の数値でいい。ドッジにC値低下エフェクトなどは間違ってもつけないこと。

 高難易度と称してクソ回避、クソ装甲、クソガード、クソ火力などのエネミーを作るなどは、ハッキリ言って愚の骨頂である。GMはその気になればどんな数字も無限に積む事が可能な立場であり、多くのGMがだからこそ節度に気を使っている事を忘れてはならない。


●「命中ダイスや火力はPCの防御能力に応じて積む」

 初期作成時点であるなら、基本的には雑魚の攻撃はダメージ20点前後、ボスの攻撃はダメージ35~40点前後程度が適切である。

 これは雑魚の攻撃なら2回、ボスの攻撃なら1回でだいたいのPCが倒れる程度の値である。HPや装甲やガード値などが盛られていれば無論、さらに耐える事になるが、それらはPCが経験点というリソースを支払い、耐久力や継戦能力を演出したくて積んでいるものであるのだから、別に構わないのである。

 無論、全てのPCが万遍無く硬いなどの状況であるのなら、状況に応じて適当に火力は上げていくと良い。ただ、PCが折角積んだ防御手段がまるきり無駄になるような状況は、出来る限り避けるべきである。

 命中値に関してはこれもまた、ドッジ関連のエフェクトを持っているPCがいるか否かで吟味をするといい。基本的には基本ルールブックのサンプルデータなどを参考にする。なぜなら、PLもだいたいそれらのデータを参考にシートを組んでいる筈だからである。

 独断と偏見でいえば、雑魚の命中値は15から20前後、ボスの命中値は20から25くらいがボーダーラインである。これは肉体能力値が高く、回避技能もあるPCならギリギリ避けられる可能性がある数字であり、ドッジエフェクトを積んでいるPCならある程度余裕を持って避けられる数字である。命中値30以上は回避特化系のPCだけしか避けられない世界と思って良い。もっとも、ボスの攻撃は基本避けるのも苦労するくらいで構わないので、別段高い数字が出ても構わない。このゲームはサンプルのボスですらとんでもない命中値がでる。

 


●「HPや復活エフェクトは必要に応じて適当に積む」

 初期作成だろうがなんだろうが、使用サプリメントが増えれば即死ダメージを叩き出してくるPCはこのゲームは一杯いる。念のため復活エフェクトを1,2枚積んでおくと目安にもなりやすい。面倒ならHPを大量に積む事で対応しても良い。

 ……なんだったらマスクデータなんだからHPは適当に「調整」しても良い。

 

●「なるべく4ラウンド以上戦闘はしない」

 このゲームは戦闘が長引くだけで勝手にPCは自滅する。

 デザインからして長期戦を想定していないゲームであるので、だいたい2、3ラウンドでクライマックスは終わらせたほうが良いだろう。

 ミドルなら1ラウンドどころかPCが範囲攻撃一発で掃除するくらいでも構わない。


●「本当に本当に面倒だったら」

 自分のPCデータに適当に数字を盛ったら好きなエネミーエフェクトを追加してそのままお出しする。

 ただし、上記のような積むべきでない効果を持ったエフェクトは適当にオミットしておく。

 


 以下、付録。


●独断と偏見のエネミー向けエフェクト運用早見表


『一般エネミーエフェクト群』

 基本的に雑魚なら「イベイジョン」、ボスなら「加速する刻」と「蘇生復活」と、そして「瞬間退場」が鉄板である。

 雑魚に「イベイジョン」を持たせればダイスを振る手間が省けるので、時間短縮と事故防止が同時に出来る。

 ボスの「加速する刻」も様々な使い道があり、まだ侵蝕率やロイスに余裕があるPCを狙い撃ちしたり、シナリオ上関係深い特定PCをイベント的に殴ったりと色々できるので、非常に便利である。範囲攻撃やシーン全体攻撃持ちの場合はPCに必要以上のダメージを与えてしまいがちだが、これらの複数攻撃も回数制限を設ければ問題ない。「蘇生復活」は単純な即死事故防止でもあるが、今際の際の恨み言や、強大なボスらしい驚異的なタフネス、もしくは覚悟を賭して決死の思いで立ち上がるなど、様々な演出にも有用である。「瞬間退場」についてはいわずもがな、ミドルシーンで適当にPCの前に姿を現し、適当に挑発して、適当に戦意を煽り、適当に現場から立ち去る際に有用である。また、PCのバステ攻勢がキツく、しかも使っているボスが重圧や硬直などを食らうと完封されてしまう場合は「状態復元」を積むという手もあるが、それはそれでPCの戦略を破綻させる場合もあるので安易にお勧めはしない。素直にそのままバステ塗れにされてボコられる事も検討しよう。また、シナリオフックとして「超人的弱点」を積んでみるのも面白い。

 他にも、統率力を演出したいなら「支配者の瞳」、「戦闘陣形」、「戦力増員」など。

 頑健さを演出したいなら「高速再生」、「装甲強化」、「ピンポイントガード」、「レネゲイドライフ」など。

 苛烈な攻撃力を演出したいなら「装甲貫通」、「ワールドデストラクション」などがオススメである。

 また、PCも取得可能な一般エフェクトも回数制限がキツいものが多いため、ボスの切り札として採用しても案外有用である。特に「アタックボーナス」や各種「エンハンス」系エフェクトは回数制限の必殺技として使える。耐久力を演出したい場合は「ヴァイタルアップ」、「ショックアブソーブ」、「リミテッドイモータル」などを積むという手もある。

 

『レネゲイドビーイング専用エフェクト群』

 根っからの人外種として演出しやすいエフェクト群が特徴である。まず、各種「オリジン」エフェクトを活用すれば、気軽に第二形態や真の姿の演出が可能であり、性能もLvである程度調節できるので使いやすい。オリジン効果中のみしか使用できない「カラミティスマッシュ」や「レネゲイドスマイト」などを組み合わせてみるのも悪くない。演出方面では「ハートレスメモリー」や「ファーコンタクト」が面白い。

 エネミーエフェクトも粒揃いであり、非オーヴァードから姿を隠す「インヴィジブルボディ」、RC攻撃や交渉攻撃を条件付きで跳ねのける「ハイデンシティ」、また条件付きで100%未満のPCに対し強力なエフェクト使用制限をかける「フォールダウン」、これまた珍しい戦闘不能回復ではなく死亡回復エフェクトである「不死生命」、そして演出力抜群の「不老の身体」と、強力かつ面白い効果のエフェクトが目白押しである。

 

『エンジェルハィロゥ』 

 正統派の異能者エネミーとして使いやすい。「スターダストレイン」が回数制限のシーン攻撃であり、一撃で痛打を与えるに相応しい役割を持つ。同じく回数制限の範囲攻撃である「レーザーファン」もありがたい。必殺技の演出なら「ファイナルフラッシュ」も回数制限の大火力攻撃であり、使いやすい。また、同一エンゲージ攻撃不可のエフェクトを握らせることで弱点を演出するのも悪くない。「鏡の盾」などで無理矢理ダメージを稼ぐという手段もある。

 エネミーエフェクトも「異界の万華鏡」で狙撃、「イリュージョンシールド」で雑魚から片付ける事を強要、「第三の瞳」による監視、「ミッドナイトシネマ」による幻影召喚など、幅広い演出が可能である。


『バロール』 

 PC同様、一癖ある重力使いのエネミーとして使いやすい。全体的に同一エンゲージに対して攻撃するのが苦手なシンドロームであるが、それが逆に弱点の演出となるのでわりかしエネミーに使いやすいシンドロームである。PCで使うとイマイチ使いづらい「暗黒の槍」、「因果歪曲」、「覇皇幻魔眼」なども、エネミーで使う場合はその使い辛さが丁度良い。「空間圧縮」などで即座に雑魚をPCにけしかける事が出来るのも素晴らしい。必殺技として「黒星粉砕」も完備している。

 エネミーエフェクトはそれだけでシナリオフックにできる「時空の裂け目」や「天空城」が面白い。「爆裂重力」も解除条件が楽なので、トループによるカバーリングなどを活用して運用してみると中々良い。


『ブラックドッグ』 

 硬いエネミーを演出したい時に便利なシンドローム。データ上も白兵、射撃、RC、補助と全て一通り行えるのが強み。特にRC攻撃は同一エンゲージ攻撃不可な上に回数制限までついている「雷神の鎚」が使いやすい。PCではイマイチ15点支払うのは躊躇いがちな監視エフェクトの「サードウォッチ」や回数制限RCシーン攻撃の「フラッシングプラズマ」も、エネミーなら遠慮なく使う事が出来る。ガード面も「電磁障壁」などが回数制限のガードエフェクトであり、耐久力の演出などに使いやすい。「マグネットフォース」も被ダメージ調整に役立つ。マイナーで大きくHPを回復できる「メタルフュージョン」なども悪くない。追加行動の「鼓舞の雷」や必殺技として「MAXボルテージ」や「フルインストール」、そして何より「自爆装置」を所持している点が演出的に実に嬉しい。

 エネミーエフェクトは手軽にクライマックスでのパワーアップを演出できる「機械化手術」が便利。他はシナリオフックにも便利な「攻性防壁」、「通信支配」、「ドミネーション」などが使いやすい。

 

『ブラム=ストーカー』 

 エネミーとしては非常に使いやすいシンドロームであり、手軽に強大な吸血鬼を作り出すことができる。まず、PCではどうにも使い難い従者関連エフェクトが生きる。従者と主人はエフェクトの回数制限もお互いに共用しているため、自己のリソースを損失しやすく、エネミーには都合が良いのである。演出的にも死にかけの従者を「蠱毒」でまとめたり、「従者吸収」で喰い散らかしてみたり、「血の戦馬」を使って自分も従者専用エフェクトを使ってみたりといろいろできる。エフェクトも全体的にとにかくHPを消費するため、PCがドッジやガードをしているだけでもエネミーにダメージが蓄積する。範囲攻撃も回数制限の「血の宴」が使いやすい。回復エフェクトも一回限りの「不死者の恩寵」や復活エフェクトの「不死不滅」を持ち、必殺技の「ヘルズブラッド」に加えて連続行動の「夜魔の領域」まで所持している。演出面では「抱擁」が面白い。

 エネミーエフェクトはシナリオフックに「エイジング」、「従者の目覚め」、「鮮血の牙」、演出では「血色の蛇」が便利。また、上記のHP消費関連の計算が面倒かつPLも慣れているのなら、「不死者の血」を使ってみるのも手である。


『キュマイラ』 

 まず、見た目からして手の付けようがないバケモノであり、遠慮なく悍ましい怪物のビジュアル描写を出来る点が嬉しい。データ的にも白兵特化であるため、機動力の面で明確な弱点を演出できる。装甲無視を所持していない点もエネミーに於いては追い風の特徴である。最大の特徴としてはPC同様、演出的に獣化関連エフェクトが強力。気軽に「完全獣化」するといい。「究極獣化」も増加する装甲が10点なので、元の装甲が0であるなら丁度良い塩梅である。ただし、「剛身獣化」は高Lvだと装甲値が高まり過ぎるため、装甲無視を所持しないPCがいる場合はほどほどにするか、もしくは積まない方がいい。他にも防御面では「軍神の守り」によるカバーリング、火力面はいわずもがなだが、行動値を0にする「フルパワーアタック」、復活エフェクトの「魔獣の証」、回数制限範囲攻撃の「増腕」と、便利なものが揃っている。

 ただ、キュマイラはどうしても近接単体ダメージ特化のダメージディーラーであり、エンゲージが離れているPCなどには「飛礫」などを活用しても効果的にダメージを分散させ辛い。そういった点は留意が必要である。

 エネミーエフェクトは巨大化する「巨神獣化」、耐久力の演出となる「瞬間適応」、ワーディング以外で非オーヴァードを無力化させる「野獣の証明」、分厚い装甲と弱点を持てる「無敵の肉体」など、強大なボスの演出をしやすいモノが揃っている。


『エグザイル』

 能力からしてどちらかといえば悪役に向いているシンドロームであり、不気味な異形のエネミーとして演出できる。まず「異形の祭典」による1回限りの複数攻撃、雑魚であるなら「ウルトラボンバー」による自爆、「崩れずの群れ」によるカバーリング、そして回数制限のガードエフェクトの「スプリングシールド」や回数制限ガード無視の「貫きの腕」に、これまた回数制限範囲攻撃である「ジャイアントグロウス」と、エネミーで使う分には良い塩梅のエフェクトが揃っている。「歪みの体」などもPCで使うには値が小さすぎるのだが、エネミーなら高すぎず低すぎずで丁度良い。また、回数制限エフェクトも「アナザーセルフ」などで回数を水増しできるのも嬉しい点である。装甲無視を持たない点も、エネミーとしては長所である。

 エネミーエフェクトはシナリオフックとなる「究極擬態」、「広域融合」や、自由にシーンを出入りできる「神出鬼没」が便利である。


『ハヌマーン』 

 エンジェルハイロゥ同様、正統派の異能者を演出しやすいシンドロームであるが、如何せん全体的にエフェクトが強力過ぎるのが難点である。一先ず回数制限白兵範囲攻撃の「獅子奮迅」、同じく回数制限のガード無視攻撃である「浸透撃」、即座に距離を詰められる「スタートダッシュ」、HPを消費する命中およびドッジダイス補助の「電光石火」、連続行動の「ライトスピード」あたりが使いやすい。必殺技はPCでも有用な「マシラのごとく」と「リミットリリース」である。一回限りのシーン全体攻撃である「神速の鼓動」も悪くない。

 エネミーエフェクトは従者と似たような使い方をできる「高速分身」、「ワールウィンド」による高速シーン退場、シナリオフックにもできる「沈黙の壁」や「ミューズの調べ」などが使いやすい。「嵐の塔」をつかって絶海の孤島を演出してみるのも良いかもしれない。


『モルフェウス』 

 PCでも千両役者のモルフェウスであるが、エネミーでもその使いやすさと万能さを遺憾なく発揮する。まず演出面では「ヴィークルモーフィング」や「サイコメトリー」にはじまり、「黄金錬成」などによって気軽に経済の粉砕が可能。「砂の結界」によるカバーリングのほか、ガード値の調整がしやすい「砂の盾」や、これまた装甲値の調整がしやすい「砂の鎧」、さらには攻撃面でも回数制限複数攻撃の「スプリットアタック」にこれまた回数制限装甲無視の「クリスタライズ」、さらには回数制限シーン攻撃の「ギガノトランス」と何でもござれである。その上、復活エフェクトの「魂の錬成」まで所持している。

 エネミーエフェクトも粒揃いであり、「完全複製」、「キングダム」、「元素変換」、「偽物の金貨」とシナリオフックにピッタリなものが揃っている。まさに何でも屋である。


『ノイマン』 

 知的かつ狡猾なエネミーを演出するに相応しく、特に支援型のコマンダータイプのエネミーに適している。PCでもそうだが、エネミーでもセットアップで「戦術」や「ファンアウト」、メジャーで「アドヴァイス」、オートで「支援射撃」と手厚い支援が可能である。攻撃面も「ブリッツクリーク」や「ラストアクション」などの追加行動エフェクトに加えて、必殺技として「戦神の祝福」なども所持している。また、装甲を持ってないPCばかりいるのであれば「言葉の刃」を採用してみるのも面白いだろう。

 エネミーエフェクトはシナリオフックとなる「アンタッチャブル」、「組織崩壊」のほか、戦闘面でも「勝機の一声」や「分割思考」などが便利である。


『オルクス』 

 エネミーとして扱う分には性能・演出ともに環境トップの万能屋であり、困ったらボスはとりあえずオルクスにすれば良いというくらいには使いやすい。オルクスの寸評にだいたいの事は書いてあるので、詳しくはそちらを参照して欲しいが、簡単に言えば「要の陣形」、「導きの華」、「力場の形成」、「力の法則」、「ハンドリング」、「ナーブジャック」あたりが定番である。攻撃に回る場合は「大地の牙」や「破砕の顎」を使うといいだろう。オルクスの攻撃エフェクトは全体的に威力が控えめである点も調節が楽でエネミーに好都合である。

 エネミーエフェクトはシナリオフックに「失われた隣人」や「ラビリンス」、そして自由自在にシーンへの出入りが可能な「見えざる道」が便利である。


『サラマンダー』 

 能力からして正統派異能者であるためPC同様エネミーでも正統派異能者として活躍する。エネミーにする場合はより演出に拘り、炎のみ、氷のみと言った風にエフェクトを偏らせてみるのも良いだろう。ピュアにしなければ装甲無視を持たなくなる点も都合が良い。エフェクトはカバーリングエフェクトの「炎陣」、命中及びドッジ補助の「炎神の怒り」、それぞれ攻撃対象に制限がある「氷の塔」に「災厄の炎」、一回限りの回復である「フェニックスの翼」、ガンガンHPを消費する「終末の炎」など一通り揃っている。必殺技なら「極大消滅波」、さらに復活エフェクトの「燃える魂」もある。

 エネミーエフェクトは演出及びシナリオフックに便利な「天候操作」と「冷静と情熱の間」や「フレイムディザスター」、さらには戦闘面で必殺技にしやすい「バーストブレイク」を持つ。


『ソラリス』 

 演出面では非常にエネミー向きで便利なシンドロームなのだが、攻撃面ではなにせ交渉攻撃の起点が装甲無視であるため、そういったところが不便である。基本的には支援型のコマンダータイプとして運用し、攻撃に回る場合は「エクスプロージョン」を生かしたRC型にするのが良いだろう。命中補助の「トランキリティ」もHPを消費するため、都合が良い。「止まらずの舌」を効果的に活用できる点もRC型の長所である。「堕ちる絶望」も面白いが、これはPCの防御リソースを軒並み無駄にしてしまうエフェクトでもあるため、使用の際は注意が必要である。また、他者にも使用可能な蘇生エフェクトである「アクアウィターエ」が便利である。

 エネミーエフェクトはシナリオフックになる「治らずの病」と「蝕む声」、戦闘面ではトループを強化する「バトルフィールド」が使いやすい。


『ウロボロス』 

 強力すぎるシンドローム故、ボスにぴったりともいえるが、ボスとして運用するにも強くなりすぎるのが難点である。ただ、好き勝手出来るシンドロームでもあるため、エネミーエフェクトや複数のエフェクトを利用したシナリオギミックの黒幕として運用するには便利なシンドロームと言える。PCと違ってエネミーとして運用するなら過剰な侵蝕率増加を気にしないで済む点も楽である。「背教者の王」、「裏切りの真名」、「原初の虚」など必殺技も豊富。

 エネミーエフェクトはNPCに対して「能力強奪」などを使用してシナリオフックにしたり、「ワーディングキャンセラー」によってPCと親しい非オーヴァードNPCに対して非日常を垣間見せたりなどの運用が可能である。

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