シナリオの作成について
最初に記載しておくが、この記事もやっぱり、完全にGM向けの記事である。
故に、「俺は一生PL専だ」という方や、「いまのところGMする予定がない」という方は読まない事をお勧めする。
逆に、「今度GMやるんだけどシナリオの組み方がわからない」と言う方には、独断と偏見に於いて、簡単な指針を此処に記しておくことにする。
●「まずはボスを作る」
DX3rdはとりあえずクライマックス戦闘さえあれば必要最低限シナリオの体を成すことが出来る。一部の拗らせた(例えば筆者のような)PLでない限り、最低限戦闘さえあれば然程文句は出ないと思われる。なんだかんだで戦闘はDX3rdの華である。そのため、まずはその戦闘の相手となるボスの造形を作り込む。
無論、データという意味ではない。設定やボスの人となりについてである。
とはいえ、別にデータを先に作ってから設定を逆算する形でも構わない。その場合、DロイスやEロイスは勿論、各種エネミーエフェクトやPCでは使い辛い演出エフェクトなども想像を膨らませる助けとなるだろう。ともかく、まずはボスのキャラクターを固める。
DX3rdのシナリオの大半はレネゲイドやジャームに関するあれこれの事件や問題を解決していく形が基本であり、それらの事件の首謀者、もしくは原因となる存在が必要不可欠である。その首謀者や原因としてボスを配置するというのは全く収まりの良い形であり、何より楽である。また、DX3rdは伝統的に「かわいそうなジャーム」が公式シナリオにもごろごろいるシステムであり、ボスを必ずしも根っからの悪人にする必要はない。そういったジレンマをアクセントにするのも手といえるだろう。ただし、必要以上に後味が悪いシナリオにする場合、PLとのコンセンサスを取る事が何より重要であるという点は重々承知しておいてほしい。TRPGはあくまで参加者全員で楽しむためにやる遊びなのである。
なんにせよ、まずはボスのキャラクターを作り込み、「このボスならどんな事件を起こす可能性があるか」という部分から逆算していくと良いだろう。ボスのキャラクターが固まれば、そのボスがどんな事件を引き起こすかは、容易に想像する事が出来る筈である。
これでシナリオにする事件の輪郭が見えてきたら、ひとまずこの段階は完了である。
ボスは最終的に打倒される存在ではあるが、ある意味でシナリオの主役であり華である。ここできちんと作りこめばアドリブも楽になるので、最低限「どんな動機を持って行動しているのか」という点だけはしっかりと固めておいたほうが良い。
●「事件の解法を逆算する」
どんな事件をシナリオの題材にするか決定したら、次はその事件を解決する方法を逆算していく。例えばシンプルにボスであるジャームの悪行によってレネゲイド汚染事件が起きているのだとすれば、まずはその事件を収束させる方法、次に原因であるジャームを発見する方法、そして最終的にそのジャームをどうすれば事件の再発を防げるのかと広げていく。特殊なアイテムなどの舞台装置や、NPCなどの登場人物を増やして、それらの物品や人物を解法に関わらせるのも勿論手である。だが、主役はあくまでPCであるという事を忘れてはならない。最終的に事件を解決するための解答を導き、実行に移すのはPCである。
なんにせよ、クライマックスで戦闘できなければ大半のPLは残念な気持ちになると思われるので、解法手段そのものか、解法手段に辿りつくためには、実際的な暴力を振るう必要がある展開を準備する。
PC達が何とかできる解法が最低1つ準備出来たら、この段階は完了である。
マルチエンディングなどにしたい場合は勿論、この解法を増やす必要がある。
とりあえずこの段階まで終われば、基本的なプロットは完成したと言える。
トレーラーとかタイトルもこのへんで考えてしまうと良いだろう。
●「事件をデータ化してシナリオにする」
プロットが仕上がったら、今度はそれをデータ化していく。
まずはこの段階でもうボスはデータ化。クライマックス戦闘を完成させる。
そして、次はPC達が事件に関わる動機となるハンドアウトやオープニングの作成。
次はPC達に調べさせ、事件の解法を伝えるための情報項目の設置。
最後にトリガーシーンやミドル戦闘などの演出をどの程度差し込むか決定する。
基本的には情報項目さえ完成すれば、あとは調べさせるだけなのでほぼ完成である。
情報項目の数は参加者一人あたり最低一つ調べる事が出来る程度の数が無難だろう。
具合的にいえば4,5個である。大目にしたければ8個くらいまでは許容範囲といえる。
ただ、情報項目が増えれば増える程PC達はシーンイン数が増える事になる。
無論、それは侵蝕率負荷に繋がっていくため、項目の数は必要最低限にした方がいい。
侵蝕率は増やすことは簡単だが、減らすことは難しいという基本を忘れてはならない。
また、情報は基本的に「PCに知らせる」ことが目的である。
最終的にPC達が事件の解法を知らなければ話にならない。
そのため、基本的にささっと簡単に渡して構わない。
最初に知られたくない情報は後々、トリガーシーンなどの演出で渡すといいだろう。
マスターシーンで何やらブツブツ言ってから項目追加でも構わない。
ともかくとして、ワンクッション入れれば話は済む。
とりあえずこの段階が完了すれば、ひとまずシナリオは完成である。
●「テストプレイしてみる」
シナリオが出来上がったら、まずは1人で回してみる。PCなどは書き割りで構わない。確認が目的なので細部はどうでもいい。気の知れた仲間がいるなら、仲間達に「テストプレイにつきあって欲しい」と伝えて手伝って貰うのも勿論良いだろう。ともかく、最低一度はテストプレイしてみる事を薦める。
こうして、テストプレイを終えれば、恐らくシナリオには粗が見えてくると思われる。
気にする事はない。ほぼ全てのシナリオがそうである。
リテイクなしで完成など、そうそうあるものではない。
あとはその粗を細々と直していくだけである。数値調整や必要なものと不要なものの取捨選択などもこの段階で行う。このテストプレイを気が済むまで回して、ブラッシュアップが済んだら、シナリオは完成である。
●「本当に本当に面倒だったら」
適当にサンプルシナリオとか公開シナリオでも検索して回す。
当然だが、これらはあくまで筆者のシナリオの作り方であり、別に汎用的な作成法ではない。そのため、これらの手順を守る必要は一つもない。
あくまで、ただの参考の一つとしてだけ捉えてくれると幸いである。
絶対のシナリオ作成論など、この世には存在しない。
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