エグザイル
●解説
ビルド適正:ガード、白兵、射撃
▼概要
あらゆる意味でDX3rd界きっての隙間産業シンドローム。
フレーバー的な能力だけでなく、ゲーム的な性能まで何かの隙間に挟まることを是とするDXの日陰者である。
というのも全てはエグザイルの無難かつ堅実なエフェクトの数々がその原因であり、エグザイルは無難にダイス数を増やして無難にHPを盛って無難にカバーリングして無難に生き残る事が得意で、さらには状態異常の付与にも長けている。
ただし、火力だけはあんまり上手に盛れない。
昨今はサプリメント「レネゲイドウォー」で待望の80%制限高係数火力エフェクト「死神の手」や、サプリメント「バッドシティ」で「死招きの爪」などを手に入れはしたが、装甲無視は相変わらずない。
つまりは地味である。
しかし、地味ながら揃っているエフェクトはどれもこれも便利であり、特にイージーエフェクトは潜入調査などの場面で大活躍する。
戦闘でも「異形の転身」、「デビルストリング」、「異世界の因子」、「ブレインハック」、「融合」など他のシンドロームでは真似ができないユニークなエフェクトを生かしたトリッキーな戦術を展開する事が出来る。
前述したように、数々の状態異常エフェクトを保持している点もエグザイルの特徴であり、相手をバッドステータス塗れにして行動不全に陥らせる事も可能である。
特に「ブレインハック」による憎悪は対象を自分で選べるため、PCの誰かではなくNPCやエネミーも選ぶことが出来、同士討ちを誘発させる事が可能である。
また、攻撃エフェクトも何かしらの効果と抱き合わせと言う事が多く、火力よりは一癖ある搦め手が全体的に得意である。
地味ではあるが、イニシアチブタイミングでの貴重な移動手段である「異形の転身」も実に強力なエフェクトである。素直に移動しても勿論構わないが、相手の同一エンゲージ対象不可攻撃を見てから2ラウンド目の手番直前に強引にエンゲージして攻撃を回避したり、ガード屋であるなら即座にガード対象の移動についていって護衛のラグをなくすなど、中々に便利で面白いエフェクトである。
そして、使い方について良く聞かれるのがこのエグザイルの目玉エフェクトであり、ルール裁定混乱の元の問題児でもある、「融合」の運用法である。
「融合」は120%制限エフェクトでは異例の低コストエフェクトであり、連続使用を前提にされている珍しい120%制限エフェクトである。様々な悪用法があるが、一番使いやすい使い方はガードエフェクトや「サポートボディ」と併用して単純に自己を誰かの盾にしてしまう使い方である。常にずっと一緒に行動するので、ある意味で最強のガードエフェクトともいえるが、やはり120%制限であることが最大の弱点であるため、使い辛さは否めない。ただ、護衛対象が白兵屋などの頻繁に動き回るキャラクターである場合なら、一考の余地がある。
そして、攻撃面で扱う場合は単純なエフェクト外付け装置として有効である。ガード専門が盾であるなら、こちらは矛としての運用である。構成を相談する必要があるが、やる事は至極単純であり、誰か味方の欲しがっているエフェクトを「融合」持ちのエグザイルがクロスやトライになる事で取得していき、最終的に「融合」することで圧倒的エフェクト数を誇るバケモノを作り出すという運用法である。何せ初期作成環境でも「融合」の取得分を除けば、実に経験点115点分の追加エフェクトがそのまま乗っかるのである。レネゲイドビーイング専用エフェクトやピュア制限エフェクトも使えるので、本来なら使用できない規格外の超性能キャラクターを作り出すことが可能である。特にピュアブリードのキュマイラと相性が良く、クロスかトライになったエグザイルが装甲無視攻撃や長距離移動エフェクトを携え、満を持して「融合」して張りつけば、どっちがボスなのか分かりゃしねぇといった有様の超凶悪オーヴァードが爆誕する。
また、ブラム=ストーカー混じりのエグザイルなら従者に「融合」を使わせることも可能であるため、さらに悪さが捗る事になるが……必要となる経験点が嵩み過ぎて難しいかもしれない。
だが、これらの運用いずれにしても、「融合」自体が120%制限かつ、「融合」中は使用者も「融合」を受けたキャラクターも、何かエフェクトを使うたびに両方とも一緒に侵蝕率があがっていくため、「融合」使用者の侵蝕率負荷は計り知れないものとなる。「融合」を受ける側もエフェクト数が増えると言う事は、使用すれば当然そのまま侵蝕率が増えると言う事であり、考えなしに濫用すればジャーム一直線である。計画的に運用しよう。
ともかく、エグザイルは総じて、筋肉質な盗賊やがっしりとした体格の忍者のような活躍が出来るシンドロームであり、搦め手を得意とする戦巧者と言えば、少しはスタイリッシュな気がしないでもない。
まとめると、全体的にルールに習熟したPL向けのシンドロームであり、中級者以上向けのシンドロームであると言える。
▼ピュアブリード
基本は優秀なピュア制限エフェクトである「がらんどうの肉体」か「マルチアタック」のいずれかを生かしたビルドになる。
「がらんどうの肉体」を生かす場合はわかりやすいガード屋である。
「自動触手」で殴り返してやっても面白い。
エグザイルはカバーリングエフェクトの「崩れずの群れ」を持ち、HPとガード値も盛りやすいため、ガード屋として適性が高い。
とはいえ、「がらんどうの肉体」は1ラウンド1回制限であるため、複数回攻撃に対しては何か対策を講じる必要がある。
「マルチアタック」を生かす場合は当然ながら攻撃に回る。
まず能力値補正とエフェクトの選択肢の関係から攻撃に回るなら白兵一択である。
特に「伸縮腕」による射程延長や、「エンタングル」による重圧付与と、「ブレインハック」の憎悪付与による同士討ち誘発が強い。
「マルチアタック」はドッジに使う事も可能であるため、「蛇の動き」と一般エフェクトの「リフレックス」を取得して自己防衛手段を確保するという手もある。
逆にリアクションをする気がないならサプリメント「インフィニティコード」及び「エフェクトアーカイブ」収録の「ヒュドラの怒り」も選択肢に入る。
その白兵ですら自前で装甲無視をエグザイルは持たず、係数も全体的に据え置きであるため、火力はどうしても貧弱である。サプリメント「レネゲイドウォー」で「死神の手」と「ダヴィンチの調和」、サプリメント「バッドシティ」で「死招きの爪」を獲得した事である程度改善されたが、それにしても、火力を出そうと思うなら他シンドロームに一歩譲る感は否めない。
そこまでしてピュアブリードのエグザイルを使う必要があるのか否かについては当該寸評では言及を控える。
▼クロスブリード
まさに隙間産業の名を欲しいままにしているエグザイルの真価発揮はここからである。
豊富なバッドステータス付与とダイス補助、潤沢なHP増強、カバーリングエフェクトに唯一無二の「デビルストリング」など選り取り見取りである。
とはいえ、優秀なカバーリングエフェクトと白兵エフェクトの関係から、やはり基本はガード屋か白兵屋の補助である。
エグザイルの持たない高係数ガードエフェクトと素手による装甲無視エフェクトを持つバロールが有力候補か。
装甲無視のほか、HP回復と火力目当てでブラム=ストーカーというのも悪くない。
高い防御能力と白兵戦闘能力を兼ね備えたブラックドッグなども心強い相方だ。
「融合」を使う場合でも余所の優秀な100%制限エフェクトをつまみ食い出来るため、非常に戦略の幅が広くなる。
また、イージーエフェクトをGMが広く許容する環境であるなら、エグザイルの優秀なアンダーカバー向けイージーエフェクトを他のシンドロームのイージーエフェクトと合わせたミドルフェイズロールプレイ特化型なども面白いだろう。これくらいはフォローを入れてもいいじゃないか。なぁ?
▼トライブリード
基本的にはクロスブリードと似た運用になるが、バッドステータスに特化した組み合わせにする場合はトライブリードのほうがより優秀である。
バッドステータス付与のエフェクトは低レベルでも十分に活用する事ができるため、トライブリードと相性が良いのだ。
オプショナルにしてしまっても全く問題ない。
火力面では100%制限である「ヒュドラの怒り」や「ジャイアントグロウス」が取得できなくなってしまう点が不安に思えるかもしれないが、トライブリードであるなら、火力エフェクトは余所から取って来ればいいので大した問題にはならない。
バッドステータス特化に絞って考えるなら、行動値が高まるエンジェルハイロゥが有力候補か。サプリメント「ヒューマンリレーション」を有しているのならば感覚能力値で白兵攻撃が可能であるため、バッドステータス戦略とも噛み合う。
素直にエグザイルをオプショナルに選択してしまってRCの「細胞浸蝕」でバッドステータスを押し付けるのも悪くない。
また、サプリメント「エフェクトアーカイブ」を有するならばガード屋の場合でも非常に優秀なリミットエフェクトである「守護者の巨壁」に手が届きやすくなるため、選択肢に入る。また、サプリメント「バッドシティ」を有するなら何より、「デビルスレッド」が頼もしい。攻撃面でも「死招きの爪」などがある。
「融合」を使う場合はだいたいクロスで十分だが、どうしても欲しいエフェクトが散っているならトライにするのもありだろう。ただ、100%制限に手が届かないのは強力なエフェクトを集めたい「融合」ビルドでは大きな欠点となる。トライにするかどうかはよくよく考えて選択しよう。
▼専用Dロイス
専用Dロイスは「異形」のほうは使いづらいが、「器物使い」のほうは割と使いやすい。
▼専用ユニークアイテム
専用ユニークアイテムは「上級ルールブック」収録の「蠱毒の壷」が面白い。面白い以上のコメントはない。
サプリメント「インフィニティコード」収録分はガード屋であるなら回復アイテムの「悪食の好物」が便利である。係数はそこそこだが、使用回数が多いため、マイナーが空いているビルドなら一考の余地がある。
これらはいずれも侵蝕率を増加させずに恩恵に与れる為、その点も無論メリットである。
サプリメント「ネームレスシティ」収録分はどちらもHPに関連したものである。特に「九生足」はHP消費エフェクトを使用する場合の保険として優れており、ブラム=ストーカーを含むクロスやトライのビルドの場合は、採用を検討してみてもいいだろう。
大幅にアイテムデータが追加・修正されたサプリメント「アイテムアーカイブ」では、「伸縮腕」を採用しているなら、「インフィニティウィップ」が費用対効果に優れており、そこそこの威力とそこそこの命中率を両立したい場合は採用候補となる。
▼独断と偏見の便利エフェクト早見表
「異形の転身」
移動エフェクト。
イニシアチブで移動できるため、色々と悪さが出来る。
「異形の刻印」
HP増強エフェクト。脅威の最大Lv10。
これのおかげでエグザイルはHPを伸ばしやすい。
「ブレインハック」
憎悪付与。
最大の特徴は憎悪の対象を自分で選べる点である。同士討ちを狙おう。
「うごめく弾丸」「エンタングル」
重圧付与。
重圧はかなりキツいバッドステータスであり、様々な局面で活躍する。
「妖の招き」
白兵攻撃強制移動付与。
さりげなく射程が20mもある。
「餓鬼魂の使い」
邪毒付与。
自分以外の攻撃でも発動するため、使いやすい。
「壁に耳あり」
情報収集エフェクト。
ミドルの情報収集でも活躍したい場合は取る。
「崩れずの群れ」
カバーリングエフェクト。
スタンダードかつ使いやすい性能。
「細胞浸蝕」
RC重圧邪毒付与。
かなり高性能だがRCである点がエグザイルには向かい風である。
「伸縮腕」
視界白兵攻撃。
ダイスの低下数が大きいが移動の手間が無くなるのは嬉しい。
「貫きの腕」
ガード無視白兵攻撃。
ダイスの低下数と回数制限がキツいが、貴重な防御無視攻撃。
「螺旋撃」
ドッジC値増加デバフ。
命中達成値が出し辛いビルドを組む時は頼りになる。
「デビルストリング」
非常に珍しいオート打ち消しエフェクト。
燻し銀な活躍ができるエグザイルの秘密兵器。
「貪欲なる拳」
白兵ダイス増加エフェクト。
地味な性能だが+1がついているため、さりげなく便利。
「骨の剣」
素手変更エフェクト。
特筆すべきはそのガード値。もっぱらそれ目当てで取る。
「デモンズウェブ」 80%制限
ダメージ軽減。
1ラウンド1回であるが自分にも他人にも飛ばせる。係数も良い。
「異世界の因子」 80%制限
コピーエフェクト。
他PLと構成を相談して取ると強い。具体的には「時の棺」とか。
「ジャイアントグロウス」 100%制限
白兵範囲化攻撃力増加。
エグザイルには貴重な火力である。
「ヒュドラの怒り」 100%制限
暴走付与&攻撃力&ダイス増加。
係数は3と普通だが、エグザイルにとっては最高クラス。
「融合」 120%制限
エグザイルの真骨頂にして真髄。
ルール混乱の元でもあるので良く考えて採用する事。
「がらんどうの肉体」 ピュア制限
ダメージ軽減。
発動タイミングの関係でガードも装甲ものせた上で使える鉄壁エフェクト。
「マルチアタック」 ピュア制限
達成値増加。
増加値が固定であるため、Lv1でも強い。ドッジにも使える点が嬉しい。
「擬態の仮面」
万能変身イージーエフェクト。
手軽にあらゆる悪さが出来る。
「生命の黄金率」(ヒューマンリレーション)
万能肉体ダイス増加。
+1がついているのでやっぱり地味に便利。
「過剰反応」(ヒューマンリレーション)
攻撃力増加。条件付きだが係数3。
余所はともかくエグザイルにとっては驚異の火力。
「死神の手」 80%制限(レネゲイドウォー)
待望の係数4攻撃力増加エフェクト。
余所と比べても優秀なエグザイルの高火力エフェクト。
「ダヴィンチの調和」 100%制限(レネゲイドウォー)
万能C値-1低下。
シナリオLv回とはいえC値下限6を自分のあらゆる判定に付与できる。
「死招きの爪」 リミットエフェクト(バッドシティ)
ついに登場したエグザイルの係数5攻撃力増加エフェクト。
エグザイルもこれで高火力が確保された。
「デビルスレッド」 リミットエフェクト(バッドシティ)
オート打ち消しエフェクト。
なんと、幾つかの制限エフェクトまで打ち消せる。
「骨の銃」「骨の剣」 (アイテムアーカイブ)
最大Lv低下により、サプリさえあれば「死招きの爪」でお手軽大火力。
これらのエフェクトに限った話ではないが、係数にもバフが入っている。
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