第2話クラミリア・サキフェスト


名前 サキ・ヴォリミヤ

レベル1

魔法 なし

スキル なし

武器 【 】

狩技 なし


体力 10J

魔力 0 K

敏捷 10 J

力10 J

守備力 10 J

器用 10 J

知識 150 I

魔法攻撃 0 K

魔法防御 10 J


「ふっ、知識以外超平凡で、武器は無し。何これ冒険者じゃねーじゃん」


ギルドから逃げ出したあの日以降、1週間サキは外に出ていなかった。

初日は【 】について手当り次第に調べたが成果は得られず、2日、3日辺りで諦めた。こんなのに事例はない。ただ一つ勉強になったことは、余りにもレアなスキルなどが出ると実験さんぷるとしてどこかの施設へ連れていかれるということ。

これはなんとしてでもギルドや国の警察には秘密にしなければならない。

もし誰かにばらしたりでもしたら、俺の人生はサンプル1色に染まってしまう。


「はぁ、でもこの【 】って無色と同じなんだよな……」


そう言って左手に短剣右手に槍を持つ。

こんなことはありえない。

冒険者としてのステータスを登録してからは自分の武器1種しか持てなくなるのだ。

仮に他のを持つと電撃が走って弾け飛ぶ。これは自分の耐性と武器が合わないため起こる現象だ。簡単に言うとアレルギーみたいな。

だが、サキにはそれが無いのだ。

色々な武器を持てるが、強くなれない。

武器という欄に乗る武器は使えば使うほどレベルが上がって狩技を覚える。しかし、固定された武器がないサキはレベルが上がること無く狩技も発現しない。つまりちょっとレアなゴミなのだ。

サキは木の椅子に腰をかけ、短剣を軽く振る。


「……これでダンジョンに行っても、せいぜい5階層で終わりか。森とかに行っても入口ら辺で終わりか……流石に狩技が覚えれないかもしれないとなるとキツすぎだろ」


1人ボソリと呟いたサキは、ふぅ~と息を吐きながら背もたれに思いっきりよし掛かる。

椅子がギシギシと音を鳴らしていると、ガチャん! と玄関にあるポストから何かが届けられた音がした。サキは、ん? と短剣と槍を机と床に立てかけ、玄関に向かう。


「――決闘招待状、ガーマルド・アーマルド……校長先生!?」


急にきた校長先生からの手紙に驚きを隠せないサキはワタワタしながら自室に戻る。

手紙には招待状と言う字が達筆に書かれていおり、肌触りの良い高級な紙を使ったその手紙を大事に扱いながら、封を開けた。

中には一枚の紙と猫の形が型どられた銀色のペンダントが入っており、それらを手に取ったサキはすぐに何の招待状か分かった。


「これって……クラミリア・サキフェストさんの年に1度の決闘大会……!」


手紙の内容を一通り読んだサキはペンダントを首にぶら下げ、すぐに外へ出てみんなに自慢しようと……。


「……今の俺に何が出来るんだ」


ピタリと足を止めたサキは思い直る。

きっと成績優秀だったという事で校長先生は俺を選んだのだろう。でも実際、冒険者としてはゴミクズ。

それにこの大会は、クラミリアさんと1体1で戦い、勝ったらクラミリアさんが冒険の間て手に入れたレアアイテムを貰えるというもの。

参加者なんて考えなくてもわかる。

今年学校を卒業した生徒は校長先生に選ばれた1人しか参加出来ない。だが、他の冒険者はフリーで参加できる。もし仮に俺の武器が見られたら……。

やっぱりダメだと足を玄関の方向とは真逆の方向に向け立ち尽くす。


「くっそ、俺も普通の人ならば……! ……いやそうか、普通の人になりきればいいのか」


机と床に立てかけてある短剣と槍を見てそんな事を思った。

そうだよ、短剣なら短剣。槍なら槍。一つの武器だけ使ってればバレることは無い。それに、このまま冒険者を辞めるんじゃなくてクラミリアさんと戦って辞めた方がなんか気分的に楽だし。

サキはこの1週間の間一度も見せていなかった笑みを浮かべながら短剣を手に取り、玄関の扉を開けた!

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