scene 2

 雑踏の中にその男は、いた。

 妙なことに時間を取られたな、と男=殺し屋は思う。

 

 この世界で生きて行くために重要なことは、証言できる目撃者を残してはならないということだ。

 ターゲットはもちろん、顔を憶えられた可能性のあるものはすべて消す。


 それは男の信念というよりも、身体に染み付いた習性と言ってもよかった。

 軽く身を震わせ、男は街の中を歩く。

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