仲間と長方形のケーキ


「・・土産。」


本日はイエローのおもさんが、

大きな長方形のケーキを持ってきてくれました。


「すっげー!」


早速さっそく切ろうぜ!」


紅茶やコーヒー、皿などを準備し、

包丁を持ったつるぎさんが切ろうとして


「・・。」


ピタリ、と動きを止める。


「どうしました?」


「早く切れよー。」


そう言ってかしていると、

つるぎさんが神妙しんみょうな顔つきで言った。


「これ・・どうやって切る?」


は?


全員、

彼が何を言っているのか、

一瞬わからなくなる。


だが、

実兄じっけいこおりさんは何かをさっしたらしく、

深い溜息をつきながら言った。


「・・普通に切っていけ。

面白さを求めんでいい。」


「この状態から、

何時いつもの三角形に切りたいんだよ!

ここからどうやってその形にするのか、

チャレンジしたら面白そうだろ?」


「そうですか?」


私個人の意見としては、

どんな切り方でもいいのだが。


「お!面白そう!」


「やってみようぜ!」


仲間達は、

ケーキよりもチャレンジする事に

興味きょうみを持ってしまったようだ。


と、いう訳で。


今から

ほぼ全員参加さんか議論ぎろんを開始します。


議題ぎだい


『長方形のケーキを、

人数分の三角形に切り分ける方法について。』



「やっぱり、

こう切っていけばいいんじゃね?」


そう言ってそらさんが、

ケーキの角から三角に順番に切る真似まねをした。


「この人数分でそれをすると、

最後の部分が三角になりませんよ。」


ケーキの長さをはかっていたせきさんが、

最後になる部分を指で差しながら反論する。


「あ、確かにな。」


「じゃあ、こうか?」


つるぎさんが切る真似まねで別の方法をして見せるが、

今度はいかずちさんが反論した。


「それで人数分にしても、

やはり最後が三角形にならんぞ。」


駄目だめか。」


「いっその事、

横にスライスしてみようか~?」


「・・ただのクリームとスポンジ。」


ニコニコしながら言うくもさんに、

静かにおもさんが突っ込む。



そのまま私とこおりさん以外が、

熱い議論ぎろんわし始めた。


・・仲間達は好奇心こうきしん旺盛おうせい過ぎて、

たまにこんな内容でも真剣に議論ぎろんを始めてしまう。


こうなると、

何か切欠きっかけでもないかぎり、

終わらないのだ。


・・このまま放っておいたら、

確実にケーキはぬるくなってしまうだろう。


「ケーキ食べたいんですが。」


唯一参加さんかしていないこおりさんに、

私はそううったえるが。


「・・もう少し我慢がまんしろ。」


止めるのは無理だと判断した彼は、

溜息をつきながら静かにさとすのだった。




結局、

その後も議論ぎろんは白熱し、

中々終わる様子が無く。


とうとうごうやした私が、

無言ではしから切って強制的きょうせいてきに終わらせた。


最後の部分が他よりも、

少し大きくなってしまったが。


威圧感いあつかんを出しながら切り分ける私の姿を見て、

気がむまで爆笑したこおりさんが


「1番面白かった。」


と、MVPの商品として贈呈ぞうていしてくれました。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る