空さんと子供


夕方近くにやって来たそらさんが、

何故なぜつかれた顔をしていた。


「仕事がいそがしかったんですか?」


そうたずねる私に、

せきさんから渡された冷たい麦茶を飲みながら、

まだ疲労ひろうの残る顔で彼は言う。


「今日は休みだったぞ。」


「え?

でも、つかれてませんか?」


頭に疑問符ぎもんふかべる私に、

そらさんは苦笑しながら説明した。


「朝から、

兄貴あにきンとこの子供達が遊びに来たんだよ。

力の加減かげんをしなくちゃいけねぇから、

気疲きづかれしてさ。」


おいっ子ですか?」


おいっ子とめいっ子。

遊び方が全然違って、楽しいぜ!」


「どういう風にですか?」


興味きょうみかれてく私に、

彼は心底楽しそうに言う。


おいっ子は、人間でいう10位かな。

めいっ子は、確か・・6つだ。


おいっ子の方は、

最近少し生意気なまいきになってきたぞ。

一丁前いっちょうまえにカッコつけてクールぶってる。


めいっ子の方は、

相変あいかわらず話好きで口が達者たっしゃだな。」


「へぇ~。」


あいつな、

俺がカードゲーム見せてからハマってさ。

家来るたびに対戦しろって言うんだぜ!」


手加減てかげんするのも大変ですね。」


子供に合わせて遊ぶのは大変だろうと、

私がろうねぎらうと、そらさんははっきり答えた。


「いや!手加減てかげんなんてしないぜ!」


「えっ?!」


「子供って、結構けっこうわかってんだよ。


あいつは真剣に勝負してんのに、

俺が手を抜くのは失礼だろ?


だから遠慮えんりょなくたたつぶしてる。」


「怒ったりしませんか?」


「そりゃ、怒るさ。

くやしいに決まってるからな。


だから


くやしけりゃ、努力して勝て!』


って言ってある。


あいつな、

最近強くなってきてるから、

俺も負けないように練習してんだ!」


まだまだ負けてやらねぇ!


・・そう笑うそらさんの笑顔は、

何時いつもの子供のような物ではなく。



次の世代を育てる、

先に生きる者の顔をしていた。



流石さすがだなぁ。)


仲間達のこういう所は、

本当に尊敬そんけいをする。


・・彼らの次の世代がどう育つのか、

少し楽しみです。





ちなみに、

めいっ子との遊び方をそらさんは、

しぶって教えてくれなかったが。


昨日偶然ぐうぜん遊びに行き、

それを目撃もくげきしたつるぎさんが教えてくれた。


そらさんのめいっ子は、

今髪を結ぶ事にっているらしく。


床に座らされたそらさんは、

髪を大量のリボンと輪ゴムで

結ばれていたそうです。


バラされた事に切れた

そらさん情報によると。


・・つるぎさんもこの間、

お孫さんに同じ事をされていたらしい。

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