仲間のおやつ争奪戦


今日はひまだ。


なので、

我が家で毎日開催かいさいされる

『おやつ争奪そうだつ戦』の

実況じっきょうをしたいと思います。


場所はリビング、

試合は3時10分開始を予定しております。


ちなみに、

今日のおやつはマドレーヌ。


久しぶりの洋菓子に、

各選手のテンションは最高潮さいこうちょうのようです。


「あ、1個あまった。」


たった今、試合のゴングがりました!


誰もが顔を見合みあわせる中、

素早すばやつるぎ選手がそれをさらっていく!


「おい!」


「俺もねらってたのに!」


口々に文句を言う選手達に向かい、

つるぎ選手が、お菓子を手に何か言うようだ!


おっと、これは・・


「欲しい奴はかって来い!

俺に勝ったらくれてやる!!」


挑発ちょうはつだぁ~!


これはわかりやすい挑発ちょうはつつるぎ選手!


さぁ、この見え見えの挑発ちょうはつに乗る者は

果たしているのか?


「テメェ・・!」


「いい度胸どきょうだ!」


「いくぞ!!」


「俺はいい。」


「ジャンケンにしとけよ。」


「また怒られんぞ~。」


おっと、ほとんどが棄権きけんする中、

数名の選手は挑発ちょうはつに乗った!


「どう思いますか、解説かいせつこおりさん?」


「何をやっている。」


実況じっきょうです。


1人でやれ。


「来い!!」


つるぎ選手と数名の選手が、

庭へと飛び出して行ったぞ!


これは・・


つるぎ選手、

室内であばれて怒られた事を

おぼえていたようであります!」


流石さすがに学習したようだな。」


そのいかずち選手が不在ふざいな事が、

のちにどう響くのか注目です!


怒るに決まってるだろ。


「さぁ!場所はうつして庭に出た選手達!」


まとめてこーい!!」


血気盛けっきさかんな2人の選手が、

一斉いっせいつるぎ選手に飛び掛かって行く!!


「たっ!!」


「はっ!!」


両選手、

連携れんけいの取れた動きでつるぎ選手に

ラッシュを仕掛しかける!!


キックとパンチ、

フェイントを取り入れた素早すばや連撃れんげき!!


実に見事な攻撃です!


「お!ちょっと動き早くなったな!」


しかしつるぎ選手、全てを笑顔でかわしている!!


「当然だ。

あの程度ていどけられなくてどうする。」


「なぜでしょう?解説かいせつこおりさん。」


解説かいせつにするな。


まぁまぁ。


「・・あの2人も中々やるが、

実戦経験が圧倒あっとう的にちがい過ぎる。

あの程度ていどの動きを見きれないなら・・

彼奴あいつは今頃、此処ここにはいない。」


「・・そうですか。」


俺が1から、

きたえ直しているだろうからな。


予想通りの答えでした。


「おっと!

話している間に状況じょうきょうが変わっているぞ!」


両選手、

つかれからすきを見せてしまったようだ!


つるぎ選手につかまり、持ち上げられている!


「お前は後、1ミリみ込んだ方がいいぞ。

その方がさらりが重くなって、威力いりょくが増す。」


「はい。」


「お前は、後2秒スタミナが持つようにしな。

そうすればパンチがぶれなくなるから。」


「ありがとうございました。

・・あ~、また負けた。」


下ろされた両選手、

つるぎ選手と試合後の握手あくしゅをしております。


いやぁ~、ナイスファイトでした!


「あの2人はもっとも若いので、

つるぎ選手は稽古けいこをつけていたようですね。」


「食べ物を持ち出すな。普通につけろ。」


しかし、

後に残ったのは手練てだればかりだぞ!


「どうした!さっさと来い!!」


さらつるぎ選手、挑発ちょうはつを続ける!


「来ねぇなら・・こっちから行くぞ!!」


おーっとぉ!

つるぎ選手、自分からてきの中に飛び込んでいったぁ!!


「どうやら、待つ事にきた様子!」


こらしょうの無い奴め。」


しかし、先程さきほど清々すがすがしい試合とは違い、

乱闘らんとうになっております!


「オラァ!」


「痛っ!この!!」


「なんでこっちなぐるんだよ!!」


りやがったな!!」


初めの主旨しゅしを忘れ各選手、

目の前の相手と戦う事に夢中になって

いるようだ!


「・・!」


突然、

こおりさんが私の首根っこをつかみ上げ、

庭から引き離してしまう。


「私には実況じっきょう義務ぎむがあるのですが。」


「帰って来たぞ。」


帰ってきた?


私は頭に疑問符ぎもんふを飛ばしていたが、

それは全て響き渡った怒鳴どなり声で消された。


「全員正座しろ!!」


お!


「どうやら、チャンプが戻って来たようです!」


「まだ続けるのか。」


おっと!

気が付いた全ての選手が逃げ出したぞ!


「逃がさん!!」


しかし、流石さすがチャンプ!


素早すばやい動きで全員つかまえ、

頭に拳骨げんこつをしていきます!


「いっ・・てえぇー!!」


「いったっ!!」


「いてぇ!!」


「またお前かつるぎ!!」


怒りの形相のチャンプ、

つるぎ選手に素早すばやく足ばらいをかけた!


尻餅しりもちをついたつるぎ選手の両足をしっかりつかむ!


お、これは・・!


「貴様は!何度言えば!!」


ジャイアントスイングだー!!


チャンプ、回転速度を上げていく!!


「さぁ!皆さんもご一緒に!」


い~ち、に~い、さぁ~ん・・!


「いい加減かげんに・・しろ!!」


10回転でチャンプが足を離す!!


そのままのスピードでつるぎ選手、

物置に突き刺さったぁ!!


素早すばやくレフェリーがカウントを取る!


「1!2!3!」


試合終了~!!


「勝者、いかずち!!」


流石さすがチャンプです!

本日も2分で試合を決めました。


セコンドが動かないつるぎ選手を心配し、

っております。


「あ~、大丈夫だな。」


「うん。平気平気。」


セコンドの判断では、

大丈夫のようです。


「いやぁ、一安心ひとあんしんですね。」


「あれ位では怪我けがなどせん。」


少々、

つるぎ選手の容体ようだいが心配されますが。


「しかし、ここでお時間です。」


チャンプへのインタビューは、

この後にお送りします!


誰がくんだ。


「それでは、本日はありがとうございました。

今日はこのあたりで、リビングからの実況じっきょう

えたいと思います。

皆様、また明日お会いしましょう!」


それでは、さようなら~!!

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