私と交霊術


「・・ん?」


今の人、

どうしてあんなけてるんだろう?




「って、事がありました。」


帰るなり、

いきなりこおりさんに


帰ってくるな。」


と、言われ。


頭をたたかれた後、

いてきたの説明を求められ、

先程さきほど見た人の事を話した。


ちなみに、

いてきたつるぎさんに

ぶっ飛ばされ消えています。


「多分、

そいつは交霊こうれい術をしたんだろう。」


交霊こうれい術って、あれですよね?」


俗に言う、

何かをび出して色々聞くやつ。


まったく!

・・遊びの感覚で、そういう事に手を出すとは。」


馬鹿だとしか思えんな。


そう言って鼻で笑うこおりさんは、

かなり不機嫌ふきげんだ。


「あれって、危険なんですよね?」




私も子供の頃、

クラスメートにさそわれた事がある。


怖がりだった私は必死で


「しない!」


とキッパリ断った為、

参加はしていないが。


あの時は、結構クラスメートが

放課後ほうかごにやっていた気がする。




「そもそもあれは、

術者が行っていた術のうちの一つだ。」


私の話を聞いて、

溜息をついたこおりさんが説明してくれる。


「そうなんですか?」


「あぁ。

しかし、一般の人間がよく知る方法は、

簡略化かんりゃくかされた不完全な物だ。

本物の術の方法は、すでに失われているからな。」


「不完全な術って、すごく危ないんですよね。」



以前、

私はいかずちさんに色々な術を教わった。


その時に、彼が言っていたのだ。


『いいか?

言葉や手順を完全に覚えるまでは、

自信の無い術を使ってはならない。


術に使われる言葉や動作、

それらには全て意味がある。


もし1つでも間違えたり、

手順を飛ばしてしまったりすれば、

その術は不完全となり、必ず失敗する。


そして、失敗した術は全て

それを行った術者へと返るだろう。』



「『しかも、

不完全な術はどんな物になるのか予想できん。

より危険なるがな。』


って、教わりました。」


「そうだ。」


よく覚えたな?


間違えれば漢字書き取りの刑なんで。


こおりさんは手元の本に視線を戻しつつ、

説明を続ける。


「不完全なあの手の術でべるのは、

怖がらせて遊ぶその辺の雑魚ざこか、

もしくは・・、だな。」


「変化した奴っすね。」


を呼んだら、

とんでもない事になるな。


思わず寒気に身震みぶるいする私に、

彼は鼻で笑った。


「まぁ、遊び半分でやる奴には

似合いの末路まつろが待っているだろう。


・・間違っても、

お前は興味本位きょうみほんいで参加するなよ?」



ぎた好奇心こうきしんは、

殺すかもな?



その言葉に固まる私を横目に、

視線を本に落としたこおりさんは、

静かに笑ったのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る