仲間と映画鑑賞


私はホラー映画が嫌いだ。


以前も言った様に、

偽物にせものまぎれ、が来てしまうからだ。


でも、

ヴァンパイアが題材な物は

平気だったりする。


だって、これに本物はいないし。


「「「いや、いるぞ。」」」


お気に入りの

ヴァンパイアを倒すアクション映画を観ながら

3人に言うと、即答で返事が返ってきた。


もちろん、映画は消す。


「そんなに気にしなくても大丈夫だ。」


「あいつ

決まったとこ以外は行かねぇから。」


置いていたポップコーンを食べながら、

いかずちさんとつるぎさんが言った。


「それなら、安心ですね。」


でも、本当にいるんだ吸血鬼。


「で、本当に美形なんですか?」


好奇こうき心からいてみると、

3人は黙ってしまう。


「・・?」


そのままジッと見詰めていると、

こおりさんが溜息をついた。


「いいのか?・・確実に夢が壊れるぞ。」


今ので余計よけい気になります。


「・・外見は、人間大の蝙蝠こうもりだ。」


え?


「顔は老人の様にしわくちゃで、

全身の肌は黒に近い灰色をしている。」


「目は鋭く金色で、

口は耳まで裂け、吸血の為の牙が生えているな。」


「頭は生まれたてのひなみたいだぞ。」


つまりまとめると。


「「「物凄ものすご不細工ぶさいく。」」」


そこはハモるんですね。


「へ~。

・・なら、どうして美形だっていう

伝説ができたんでしょうね?」


私がポップコーンを食べながら

疑問をぶつけると、

いかずちさんが答えてくれた。


「奴らには、強い催眠さいみんの力がある。

獲物えもの効率こうりつ良く手に入れる為に、


『狙った人間の1番理想とする容姿』に


見えるようにする。」


「で、引っかかった奴から血を吸うんだよ。」


「なるほど。

で、弱点は合ってるんですか?」


まだ聞くのか。


「ニンニクの様な刺激臭しげきしゅうは嫌う。

血の匂いをぐ為に、

嗅覚きゅうかくが発達しているからな。


だが、死ぬほどではない。


一時的に嗅覚きゅうかく麻痺まひさせ、

後を追えなくさせるだけだ。」


「十字架の効果はあるぞ。

奴らはそれで作った結界に触れない。


それ以外にも結界を張る方法はあるがな。」


「太陽の光は効くぜ。

魔の時間に住む者は、光で浄化される。


でもな、紫外線ライトはダメだ。

人工の光は浄化の力がねぇから。」


へぇ~。


「で、催眠さいみん以外の能力は?」


随分ずいぶんと熱心に聞くな?


抑えきれない好奇こうき心です。


「でけぇ蝙蝠こうもりだから、

音波で普通の蝙蝠こうもりは操るぞ。」


「狼には変身できん。

変身して見えるのは、全て催眠さいみんによるものだ。」


「1番の違いは、

血を吸われても不死にはならない事だ。

もちろん、吸血鬼にもならない。


あれは、

自分から寄って来る様に奴らが広めたうわさと、

獲物になった人間に掛けた催眠さいみんによるものだ。」


おお、それは伝説とは違いますね!


「イメージとはかけ離れているだろう?」


「だから、夢が壊れると言ったんだ。」


そうですか?


「美形という話より、納得しました。

そういう進化をげたあやかしと考えれば。」


そういう私を見て、3人は苦笑する。


此奴こいつはそういう奴だった。」


「普段怖がりなくせに、

変なとこできもが座ってんだよな。」


おびえられるよりはマシか。」


「怖く無いです。」


今日、

が夢に出た時は

お願いします。


「今すぐ特撮に変えろ。」


「アニメでもいい。」


「もう観るな!!」


再び映画をつけようとしたリモコンは、

無情むじょうにも取り上げられる。


その後、

3人で無難ぶなんにバラエティー番組を観て、

何事も無く過ごした。


しかし、予想通りというべきか、

夢に本物のヴァンパイアを呼んでしまい。


助けられたものの、

夢の中で怒れるいかずちさんと

笑顔のこおりさんにお説教され。


起きた後も、

2人に明るくなるまで説教を食らった

私は


(2度とヴァンパイア映画なんて観ない。)


と誓った。





しかし、

ゾンビ映画でまったく同じ事をして、

私はまた2人に怒られる事になる。

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