好きな本と仲間


私も仲間達も、本が好きだ。


私は面白ければ何でも読む派で、

詩集、童話、絵本、小説、漫画など、

特にこだわりは無い。


好きなジャンルは

ファンタジーやミステリーで、

ホラーや恋愛物は苦手だ。


いかずちさんは、

哲学や兵法などを読む。


「復習も兼ねて読んではいるが、

如何いかなる事も想定しておかねばな。」


と、言っていた。


漫画は、格闘物が好きらしい。


つるぎさんは漫画専門に見えるが、

武士が主人公の時代物はよく読む。


なんでも、

戦い方のシュミレーションになるそうだ。


鍛錬たんれんする時、頭の中で仮想の相手を作り出し、

その相手と対峙たいじした時どう動くかを

予想しながら体を動かすらしい。


1度見せてもらったが、

目では追えなかった。


もちろん、

格闘とアクション漫画は好きだが、

ストーリーは勧善懲悪かんぜんちょうあくが好みだそうだ。


理由を聞いたら


「理不尽なのは、現実で痛感してるからな。

・・こういう物だけでも、夢がある方がいい。」


そう言い苦く笑うのを見て、

それ以上は聞けなかった。


こおりさんは、心理学やミステリーを読む。


漫画も、ミステリーのみだ。


なんでも、人の心の動きを読む為らしい。


「人は知恵を持って行動する。

普段は理性で物事を抑えているが、

そのたがが外れる時がある。


それこそが、犯罪を犯す時だ。


書物はその時代の人が考えて書く。


ゆえ

その時代の人の心の動き、

抑えている深層心理、

社会情勢などが全て反映される。


特に、

ミステリーは犯人の動機や心理で、

その時代の人の凶悪性が手に取る様に

理解できるからな。」


そう言うこおりさんの表情は、

悲しいような、怒っているような、

複雑な物だった。


この顔は、時々見る。


みんなでニュースを観ている時だ。


それを観ている時に仲間達がしている顔は、

この表情だった。


その時にいつも、こおりさんは静かに言う。


「だから人は嫌いなんだ。」


と。


ある時、


「私も人だけど、嫌いですか?」


と聞いてみた。


強めなデコピンと共に返された返事は


「お前はマシだ。馬鹿だからな。」


だった。


思わず、


「ツンデレですね。」


と言ったら、意味を知らなかったらしく、

不思議そうな顔をしていた。


つるぎさんに訊いて下さい。」


と、向こうにいたつるぎさんに丸投げしたら、

その場で訊きに行った。


・・・・つるぎさん説明中・・・・


あ、思い切り蹴り飛ばされてる。


「お前っ、わざと俺に説明させただろ!!」


そんなことありません。


さっき、楽しみにしていた

ケーキを勝手に食べたからとかじゃないです。


わざとじゃねぇか!!」


事故です。


こおりさんが八つ当たりでつるぎさんを追いかけ、

蹴られたくないつるぎさんが、

側を通りかかったいかずちさんや他のヒトを巻き込んで。


いつもの騒がしい空間が出来上がった。


うん。


「やっぱり、みんなは笑ってる方がいい。」


なんて、仲間には言ってやらない。


多分、気付かれてるけど。


「お前も道連れだ!」


その騒動にやっぱり巻き込まれ、

私も逃げる羽目はめになる。


結局騒動は、

私が限界を訴えて転ぶまで続いた。




やっぱり、笑顔が1番良い。

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