私と心霊特集


ひまだし、テレビ観よ。」


退屈なので、テレビをつけた。


「お、心霊特集やってんな。」


チャンネル変えた。


「何で変えんだよ~!」


余計よけいなの呼びたくないです。」


夏のこの時期は、テレビを観るのも大変だ。

映画でさえ心霊関係のホラーばかりする。


少しはこっちの身にもなってほしい。


「暑くなって来たら

必ずするんだよなぁ~。

話は怖く無いけど、

別な所に結構いますからね。」


写真とか、再現VTRの中とかで、


「ここに人の顔が!」


とか言ってる所とは別の場所に、

本物がいたりする。


は気付いた人の所に行くから、

面倒くさい事になるのだ。


「いいじゃねぇか!もっと呼ぼうぜ!

最近弱っちいのばっかで飽きてたんだよ!」


断固拒否します。


「1人で遊んできて下さい。」


あそこの道辺りに、いましたんで。


「あれも弱いじゃねぇかよ!」


叫んだ後に、つるぎさんがニヤニヤしだした。

何か企んでる。

絶対。


「お前・・怖いんだろ~!

夜にトイレ行けなくなるから、

ってタイプだろ?」


失礼な。


「怖くないですよ。」


「本当かぁ~?」


「本当です。慣れたんで。

・・夢の中で、朝まで命がけの鬼ごっこしたり、

ゾンビの大群相手にしながら逃げ回ったり。」


妖に追いかけまわされて

髪の毛引っ張られたり。


廃病院の中を

顔色の悪い女に追い回されたり。


部屋の中そっくりな場所で、

正体不明の影に足掴まれて

引きずって連れて行かれそうになったり。


沼の中から恨みがましい眼で、

ずぶ濡れの女が見つめてきたり。


「そんなんばっかで、耐性つきました。」


つるぎさん?


「・・苦労してんな、お前。」


平気です。慣れたんで。



・・泣いてなんかいない。

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