変わった夢


目が覚めた時、こう思った。


(あ、これ夢だ。)


私が現在いるのは学校の廊下で、辺りは、

なんか見た事がある教室が並んでいる。


これは、割とよく見るパターンのやつだ。


時間はいつも夜で、

私はこの中に閉じ込められている

ところから始まる。


この夢が、小さい時は怖くて仕方が無かった。


理由がいくつかあるので、

全部聞いてもらおうと思う。


その1

まず、夜の学校という場所が、

怖がりの私には無条件で怖い。


その2

どの窓も玄関も開かない。


その3

この夢と実際の時間は繋がっていて、

何故か朝になると玄関が開くようになる。

(つまり、現実で朝にならないと出られないのだ。)


その4

なんかいる。


影しか見えないが、

なにかが追いかけて来るのは解る。


つまり、私は時々教室に隠れながら、

玄関が開く朝になるまでそいつから

逃げなければならない。


その上、武器やアイテムは一切無しという、

子供にも容赦のない仕様だ。


初めて見た時は、寝るのが怖くて

嫌だったのを覚えている。


(最近見ないなぁ~。)


と思って油断していれば、

これは何の嫌がらせなのか。


「明日用事あるから、

今日はしっかり寝たかったんだけど。」


もう、溜息しか出ない。


(早く終わらせよう。・・今日は、誰かいるかな?)


朝までかくれんぼは、疲れるから嫌だ。


「おーい!誰かいますかー!」


とりあえず、大声で呼んでみる事にした。


「なんだー?」


「おお、つるぎさんだ。」


つるぎさんは、まだ起きてたらしい。


「徹夜じゃねぇよ。俺らは起きる時間。」


物凄ものすごい早起きだった。


「今、何時ぐらいでした?」


「確か4時前ぐらいだったぞ。」


「うわぁ。・・まだ寝てたかったのに。」


溜息を自然とついていると、

つるぎさんが珍しそうに辺りを

見回したのが解る。


「なんか、変な夢見てんなぁ。」


「昔から時々見てました。

朝にならないと出られません。」


「ゲームみてぇ。

・・向こうから来る奴、ぶっ飛ばせば終わるな。」


「お願いします。」


頭を下げて丁寧ていねいに頼んだら、

つるぎさんが楽しそうに笑った。


「おう!任せとけ!」


「流石です。」


「おはぎ1個な。」


「了解です。」


おはぎ1個で済むなら、安い物です。


話してる間に、向こうから何か来た。


(あれが、ずっと追いかけて来てた奴か。)


影じゃなく、ちゃんと異形の姿をしていたらしい。

こうして見ると、解りやすいくらいの妖だ。


相手はニヤニヤしながら近づいてきて、

私に向かって手を伸ばす。


すると、体が勝手に動いてその妖を思い切り殴った。


壁に叩きつけられたそいつが、

異様な物を見る目でこっちを見る。


それに向かって、の口が怒鳴った。


「弱い者苛めしてんじゃねぇ!!」

(弱い者って。)


その瞬間、相手が顔色を変えて逃げ出す。


そいつは、気が付いてしまったようだ。


仲間1の武闘派で、喧嘩好きの

相手にしてしまった事を。


「逃げんな!!」

(台詞が悪役ですが。)


私はそのままそいつを追いかけ、

思い切り殴る。


妖は、吹き飛びながら端微塵ぱみじんになって

消えてしまった。


「どうせなら、もっと強い奴連れて来いよな。」

(そんなのが相手だと、私の命がありません。)


楽しそうにが笑って、

仁王立ちする。


・・と、そこで目が覚めた。


「・・もう少し寝て、起きたらおはぎ。」


私はもう1回寝る為に、布団の中に戻った。



その日以来、その夢は見ない。

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