第十一章
空船に、乗って旅をしている兄たちのママは、いろんな星のそばを通り過ぎて行った。
宇宙は、限りなく広く、星は、数え
切れないくらいの数だった。
宇宙を、旅できるなんて、思ったことなかった彼女は、感動していた。
その頃、彼女を、舟に乗せた女性は、空を見上げながら、「あの子は、今、どの辺りを旅しているんでしょう。」と、独り言のように言うと、
一緒にいる女性は、「また、送ったんですね。」と、返事をした。
「今度こそ、幸せに会って欲しい。ここに、ずっとおいておきたかったけど、あの子は、帰らなければならない。私は、見送る生き方を選んだ。でもあの子には、無理でしょう」
「赤ん坊のまま、戻ってくるかもしれませんね。」
「そうね。そうなるかもしれないわね。」と、女性は、寂しそうに、言った。
「そしたら、また、この世界で、幸せになってくれると、いいけど」と、続けた。
「私が、母親でなければ、あの子は、幸せになれたかもしれない。
でも、遠い話ね。何世紀前の事でしょう。」
「そんなに経ちましたか。
早かったような、長いような、考えると、とても複雑な思いになります。」と、言うと、「私は、まだ小さい時に、ここにきたので、良く覚えていません。気づけば、ここで暮らしていました。」
「あなたは、あの星の人々の戦争に巻きこまれてしまったの。そしてここに来たのよ」
「戦争?わからないわ。戦争、てなんですか?」と、聞き返すと、女性は、「知らないほうがいいわ。」と、応え、「さあ、また、送らないといけない人が、来たわ。迎えましょう」
と、言うと、「あ、そうでしたね。
私は、舟の準備をして来ます。といい、部屋を出て行った。
しばらくして、小さな女の子が、老婆に連れられて、やって来た。
「こんにちは!おねえさん、ここはどこ?」と、聴いた。
「こんにちは。始めまして、かな?」と、挨拶をすると、「うん!始めて!」と、元気に無邪気に応えた。
そして、「お嬢ちゃんは、これから新しいところに行くの。みな、平和に暮らしているところにいくのよ。」と、優しく話した。
「新しいところ?この街には、いちゃいけないの?」と、言うと、
「いいえ、街にいてはいけないわけではないの。ただ、あなたは、未来に帰る時期になったの。この街に住んでいる人々は、いつかこの世界から、旅だたなければならないの。」
すると、少女は、涙が出て来て、「もう、友達とは、逢えないの?」
と、心細く言うと、「そうね。でも、新しい友達とは、出会えると、思いますよ」と、応えると、「今の友達がいい。別れるの嫌。」と、いっそう泣いた。
女性の付き人は、「あなたの頑張り次第よ。良き友が、見つかるといいですね。希望を持ち続けるんですよ。あなたは、絵を描くのが好きなんでしたよね?」
「うん。大好き、絵をずっと描いていたい!」と、元気がでると、「その夢を心の中におさめて、旅だちなさい。この世界の事は、忘れてしまうけど、また、新たな世界で、一生懸命頑張りなさい。」と、言うと、女の子は、泣きながら、開いたドアの先に、静かに入ると、女性の手を握り、一緒に歩いていき、舟の乗り場に着くと、「おねえさん、あたし怖い。一人で乗るの?嫌だよ、乗りたくない」と、愚図ると、女性は、「乗ってみると、わかるから、安心して、乗ってごらんなさい」と、励ますと、女の子は、恐々舟の中に乗ってみた。
すると、女の子は、「おねえさん、怖くないよ。不思議、とっても安心する」と、笑顔になり、すると、舟は、自然に動き出した。
ゆっくりと進む舟から、女の子は、「おねえさんバイバイ。またあおうね!」と、言うと、「また、会いましょうね。」と、応えると、あの兄弟たちの母親の進んだ道とは違う方向に、舟は進んで行った。
「長い道を選びましたね。舟が決めたことだから、仕方ありませんね。」と、付き人が、言うと、「そうね。導くものは、舟だから、希望を持ち、見守るしかないですね」と、女性は言うと、「さあ、部屋に戻りましょう」と、中に戻って行った。
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