第十章

青い星では、戦争が絶えない国があった。

一つの国が、戦争をやめると、他の国が、戦争をしだす。そんな世界だった。


自らが、爆弾になり、まわりを巻きこみ死んでいく人も絶えなかった。


それじゃ、なんのために産まれてくるのか、わからないじゃないか、と、思う人々もいた。


この星には、いったいいくつの国があるのだろう?

そして、植物、虫に、動物。いくつ生命があるのだろう?


人は、世界一だの、世界中から集まったとか、世界選手権とか、言うけど、その世界は、微々たるものじゃないか。国や民族は絶えることなく、たくさん存在する。


この星の、世界とはなんだろう?


ある国の、子供たちは、大人に、「なんで、僕は産まれたの?」と、聞いた。

すると、母親は、「男の子には、精子が、あって、女の子には、卵子て、ものがあって、互いに好きになったら、エッチして、精子と卵子がくっついて、命になり、母親の身体の中の子宮てとこで、育って、大きくなって、産まれてくるのよ」と、説明した。


子供たちの好奇心は、限りなく、「それで、赤ちゃんは、お尻の穴から、でてくるんでしょ?」と、男の子が、聞くと、お母さんは、思わず吹き出したけど、「赤ちゃんは、お尻の穴から、でてくるんじゃないのよ。女の子には、赤ちゃんを、産むための出口があるの」と、応えると、


「ねえ、ママ、女の子は、いつから女の子になるの?」と、聞き出した。お母さんは、その質問が面白くて、笑いながら、「女の子は、母親の身体の中にいる時から、女の子なのよ」と、説明した。


その話を、友達に話すと、友達たちは、「うちの子は、ママ、あたしはママがすごく小さい時に、ママの身体に入り、ママが大きくなってから、産まれてきたんでしょ?て、言われたよ」と、楽しげに話した。


自分たちが、子供の頃を、振り返りながら、「子供て、面白いね」と、話し合った。


「私は、小学の時に、平屋の家から、二階建ての家に越した時、階段が物珍しくて、ダンボールを敷いて二階から一階まで、何度も滑って遊んだよ」


「私は、恥ずかしいけど、うち、昔、男の用のトイレと和式トイレが、あって、女の子用のトイレにばかり、お母さんが、入れるから、お兄ちゃんが、してるのに、なんで私は、和式トイレなんだと不思議で、男用のトイレで、したことあったわ」と、ジンジャーエル飲みながら、話していた。


「こんな、穏やかな話をしている間にも、他のところでは、戦争してるんだよね。」と、一人のお母さんが、つぶやいた。

「そうなんだよねー。何を正義だと思ってるのかな?」


「私は、人を殺さないのが、正義だと思う」と、答えた。


「正義と、言えば、今は妊娠すると、赤ちゃんが、健康か、障害があるかわかるんだよね。うちは、検査を受けたんだ。そしたら、障害がないと判定があったから、産んだの。

みんなは?」と、言うと、「うちは、しなかったよ。不安だったけど、不妊症で、なかなかできなかったから、どんな子でも、大切に育てると決めていたの」


「うちは.、実は、一人流したの。

独身の頃、付き合っていた人の子だったんだけど、浮気されて、私は、本命じゃなかったの。遊び扱いされていたことは、子供の話をした時、気づかされた。

悲しくて、悔しくて、一人で育てる自信もなかったし。」


「わかったよ。気持ちもわかるよ。元気出して、今いる子供を大事にしたげよう。」と、友達は言うと、彼女は、泣き出した目をこすり、「ありがとう」と、言って、「ごめんね、暗くしちゃって」と、謝った。


友達たちは、なんで謝られたかわからず、「気にしなくていいよ。謝る必要なんてないんだよ?」と、話すと、「子供たち見るたび、ほんとは、思い出していて、苦しかった。」母親たちは、「苦しさが取れるなら、いつでも、相談してね。うちらにできることなら、するからさ」と、一人が言うと、他の友達も、「うん。うん。」と、頷いた。


その日の夜、女性は、夢を見た。

「私、ママが後悔しているの、気づかなかった。でも、ママが私の事を愛していてくれていたことが、わかって、ホッとした。だから、私もママを愛す。ママが産んだ兄弟も愛す。だから、ママ、がんばってね。


私は、新しいお母さんが、待ってる。ずっと待ってる人がいる。だから、帰るね。


ママの身体から、出された時は、とても痛かった。痛かったよ。苦しかったよ。ママの子供で、生まれたかったよ。


でも、あたしを待ってる人がいるから、もう帰んなきゃ。


この世界に呼んでくれて、ありがとう。

と、言うと女の子は、サラサラと消えて行った。


夢から覚めると、女性は、涙が止まらなかった。


憎んでいなかったのか、あの子は。

愛してくれるんだ。私たちを愛してくれるんだ。と、夢を信じてみよう。


と、女性は、女の子の気持ちを信じることにした。


ある国の朝、長い間、意識不明で、眠り続けていた少女は、ゆっくりと目を開けた。

眩しい光が、少女を包んでいた。


看護師が、巡回で回って来た時、少女が、起きているのに、気づき、ビックリして、急いで医師を呼んだ。


両親にも、急いで連絡した。


父親と母親は、歓喜で娘を思い切り抱きしめた。


その少女は、泣き声をあげることなく、産まれた。


両親は、意識がなくても、生きている小さな赤ん坊を、いったんは、絶望したけど、愛らしく寝ている赤ちゃんを、死んでいると認めたくなくて、育てることにした。


そして、今、その子は、ベッドに、座っている。辺りをきょりょきょりょ見回している。


そして、

また、抱きしめた母に「ママ」と、言った。



ビックリした母親は、「ママってわかるの?」と、聞くと、「うん。」と、応えた。


「私のママ。私のパパ。」そう言うと、少女は、涙がポロポロ流れ落ちた。


主治医たちは、「奇跡だ」と、ただただ驚いた。


医師たちは、少女の両親が、いつか、また絶望し、傷が深くなることを、懸念していた。


だが、今は、喜びで泣いている。

医師や看護師たちも、泣いた。


少女は、以前母だった人の生き方が、不安で、新しい母のお腹に入っても、心配をしていた。

愛してくれなかったんだと、寂しくも思っていた。

でも、違っていた。あの人の心の中には、私は、ずっといたんだ。

新しいママも、パパも待ってくれていた。これからは、ママとパパが、いる。がんばって、幸せになろう。


少女は、無事新たな両親の元へ帰った。

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