第九章
満天の夜空を、充分に見たら、少年は、少し、スッキリして、夜空を改めて好きになり、時々来ようと決めた。
帰り道、上を見上げながら、帰ったら、パッと明るくなった。
眩しい!少年は、目をつむった。
「ああ、帰って来たんだ」と、思った。今日は、少し眠ろう。と、決めて、草の上に寝転んだ。
しばらくして、少年は、スースーと、寝息をたて、寝付いた。
「はあ、やっと見つけたわ」
少年が、ぐっすり眠っているところに、大柄な女性が、やって来た。
「こら!あんた、起きなさいよ!」と、大きな声で、少年は飛び起きた。
「え?な、何?」びっくりした少年に、大柄な女性は、少年の首根っこを持ちあげ立たされた。
「あの子たちは、どこ?どこにやったの?」と、大声で、言った。
「街に行ったよ。でも住んでいた街では、ないと思う」と、言うと、「違う街に行ったって言いたいの?」と、いっそう怒って言った。
「あの子たちは、まだ小さいのよ。三人だけで行かせたの?薄情者ね。この国に、街がいくつあると思うの?どこの街に行ったか、わからないじゃない!」と、怒っていたが、「あんただって、なんでこんなとこで、暮らしているのよ?食事や寝床は、どうしているの?」と、聞き出した。
首から手を離した女性は、彼しかいない草原に、疑問を持ち出した。
「ここ、こんなに広いけど、他に何もないわ」
「ここでは、暮らせないわね。きっと他の街に行ったんだわ。」
「あなたも、早く自分の街を見つけなさい」と、言うと、そそくさと、草原から、出て行った。
「街に行って、どうするんだろう?普通に暮らす?一人で?」
少年は、困ってしまった。
「僕は、ここにいたい。他には興味がない。どうして、静かにここで暮らさせてくれないの?もう誰も入ってこないで!」と、叫んだ。
すると、やたら広い草原のまわりに、木々が、立ち始めた。それは、みるみる丈を伸ばして行き、あっという間に、広い草原を、囲んでしまった。
少年は、驚いて、ただ、呆然に立ち尽くした。
そして、それからどのくらい、経ったろう。少年は、「僕が作った草原なの?空も僕が作ったの?」と、半ば半泣きしながら、悟った。
「僕の草原だったんだ。だから、森が出来たり、川があったり、光る花が咲いたりしていたんだ。」と、思うと、あの兄弟たちは、無事に街にたどり着けたのか、とても、不安になった。
少年は、「どうか、森よ消えないで、あの子たちを、街まで導いて!」と、空に向かい願った。「迷子にさせないで」と、必死に祈った。
すると、水色の空が、初めて白い雲が木々の向こうから、空に現れた。
「雲?雲なの?」少年は驚いた。
確かに、雲だ。白いフワフワした塊が、水色の空一面広がった。
少年は、嬉しくなり、立ち上がり、草原を駆け巡った。
それから、時々、水色の空は、雲が浮かぶようになった。
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