第八章
ウェイターは、「少し、星を見に行こう」と、少年を、誘った。
浜辺に座ると、「あの子たちのお母さんは、今、どの辺りを進んでいるかなー?」と、ウェイターは、言った。
「どの辺りって?」少年は、驚いて聞いた。
ウェイターは、「宙舟て、なんだかわからないよね?
この宇宙は、見えない道や川があってね。僕たちの世界は、広く、宇宙全体に広がってるんだよ。ここから見える星々にも、同じ世界があって、毎日川や道を人を乗せて移動しているんだ。
「星から星に、移動するの?じゃ、僕、他の星に行くかもしれないの?」と、聞くと、ウェイターは、「なる可能性もあるよね。でもそれは、長くこの星に暮らしている人とかで、大体は、前世暮らしていた星に帰って行くんだ。」
「前世?また、あんな思いをしないといけないの?」
「ここは、前世と来世の中間地点。ここで、来世を待つ。何世紀もここで暮らしている人もいるよ。」
「何かが、引っかかっているのかもね。」
「と、思ったら、来てすぐ、来世に帰って行く人もいるよ。もちろん、ここで、永眠する人もいる。
それぞれの星は、遠いから、目的地に着くまで、長い時が、必要になる。
だから、あの子たちのお母さんも、まだ、宇宙で、旅をしていると思うよ」
君も、お母さんに恵まれない人生を、送ったのかもしれない。だけど、休んで舟で、宇宙を、旅している間に、人は変わってゆく。長い時を得て、目的地に着く。
そして、新しい命の源となり、産まれ出る。
悲しいことに、新たな生命の源になっても、無事に産まれ出ない御霊もある。
そしたら、また、長い旅路が、始まる。人は、優しさを残し、愛を残し、母体から、離れて行くんだ。
愛は、御霊になる前に、産まれでる
。愛から、命に変化して、長く旅をする。そして、たどり着く。」
少年は、「じゃ、僕は、どうして、命を奪われなければいけなかったの?あの子もなんで、」
少年は、涙も忘れて、「なぜ、あの親の子で産まれたの?」と、聞いた。
「.君が新たに生まれたかったからだよ。君は、生きる気力が、強かった。生きたくて、産まれたくて、母親の身体から、出て来たんだよ。」
「人生が、生まれる前から、決まっているのかは、わからない。でも、君は、一生懸命生きた。がんばって生きた。この世界で、休んで力をつけよう」と、ウェイターは、言った。
少年は、「僕もう少し、ここにいていい?星をもう少し、見ていたいんだ。あの子たちのママが見えたら、もっと見てたいけど、この距離じゃ無理だよね?」と、にこやかに笑った。
ウェイターは、「いいけど、あまり長居しないようにね。」と、言って、レストランに戻って行った。
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