第三章

かれこれ、どのくらいが、経ったろう?

時計もなく、ずっと青空の草原では、時間がどのくらいなのか、判断付けず、困っていた。


だいたい、太陽がないのに、明るいまんまなんだから、ほんと奇妙なところだ。


少年は、ふと、「じゃ、太陽はどこにあるんだろう?海は、いつも日が暮れる頃から、あるけど、なんで、夕方しかないんだろう?それ以外には、どこにいるんだろう?」



草原の少年は、やっと不可思議なことに、気づいた。


みなが起きると、少年は「太陽を探しに行く」と、言った。



兄弟たちは、驚いた。もうたった一晩で、街を見つけることを、諦めていたからだ。


「太陽をかい?でも、海にはないし、ここからは、出られないし、どうやって探すのさ?」


「探す目的を、太陽にすればいいじゃん」


「は?」と、兄弟たちは、あっけにとられた。


「だって、街には太陽があったんでしょ?夜ももちろん。太陽を目指そう。地面ではなく、空を探そうよ。」

と、言うと、

「空?空?」と、三人はどよんだ。

すると、兄が、「そうか、空か、考えたことなかった。そうだよ、空を目指そう!」と、言い、彼に同意した。


それから、他の二人も、「じゃ、空を見るの?上を向いて歩くの?」


「そうだよ、太陽を探すんだ。きっと、他の場所に行ける。」


四人は、空を見上げると、一斉に、「太陽を見つけるぞ!」と、発し、立ち上がった。


その頃、彼らの両親は、父親が質問を、されていた。


「あなたは、どこに生きたいですか?」

父親は、泣きながら「もう一度、もう一度、妻と暮らしたい。なぜ、私は、妻たちと離れ離れにならなければならない?私は、なんの不満もない。子供達が、大人になる姿を見たい。孫も会いたい。」


すると、

「あなたは、この星から、青い星に落とされる事が、決まってます。そこでは、「誰」になるかわかりません。「誰」と、出会うかもわかりません。それでも行かなければなりません。」


「じゃあ、妻とは会えないんですか?」

「それも運命です。会える会えないの否定は出来ません。」


「あなたの御霊は、来世に届き、そこで、産まれ生きるんです。」


「そこで、生きてください。めいいっぱい生きてください。そして、帰って来てください。」


父親は、泣きながら、部屋を出ると、そこには、透明の水が、溢れるばかりたくさんあり、彼は、「この中に入ってください。」と、言われ、無気力になりながら、水の中に入った。


そして、母親は、温かい毛布にくるまられ、泣いていた。


そばにいた、若い女性が、「あなたは、まだまだ先だったんだけど、こんなに弱ってしまったら、運命を変えるしかありませんね。」


と、言うと、「まだ先?運命を変える?どういう事?」涙も枯れた母親は、か細い声で、聞き返した。


「あなたの子供が待ってます。あなたは、まだまだこの世界で、暮らしていなければ、ならなかったんですが、あなたの御霊は、あなたの産んだ子供の元へ帰ります。

子供たちは、あなたがいなくなり、苦しい人生を歩んでいます。子供たちに、光をあげてください。」


「そして、どんなに辛い時があっても、彼女たちを、責めないでください。」


母親は、言っている意味がよくわからず、困ってしまった。「子供達にまた、会えるの?また、一緒に暮らせるの?あの家に帰れるの?」


すると、話をしていた女性が、「残念ながら、あなたとこの世界で暮らしていた子供達には、会えません。」


「でも、あなたとは、時代が違うところで、再会できるかもしれませんね。でも、残念ながら、お互いに、今の世界で、親子だったことは、わからないでしょう。」


母親は、脱力感で、息を吸うことも苦しくなった。


すると、女性が抱きかかえるように、彼女を、立たせ、部屋の外へ、連れ出すと、そこは、水色の青空と大きなプールのような湖が広がり、女性が小さな舟のとこまで、彼女を連れて行くと、彼女を、舟に乗せ、舟は、静かに進み出し、舟は、水平線に着くと消えて行った。


見送った女性は、「頑張るのよ。がんばって、がんばって、そして、また、帰ってらっしゃい」と、まるで母親のように、つぶやくと建物の中に戻って行った。

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