第二章

今日も、四人で、まるで出口を見つけるように、探していた。海には行けて、四人は、レストランに入り、休憩をとった。


レストランに入り、オーダーして、4人でため息をついていると、ウェイターが、やってきて、「君たちは、どこの街に住んでいるんだい?」と、聞かれ、「それを探しているんだ。戻れなくなっちゃったの。」と、弟が、言うと、妹が、泣き出してしまった。


兄の少年は、「我慢してたんだな。ごめんな、僕、頼りなくて」と、兄も泣くのを我慢するように、無言で泣いた。



すると、ウェイターが、「君たちも、迷子になっちゃったんだ」


と、ため息をつくと、「実は、俺も迷子になっちゃったんだよ。子供の頃、この海に迷い込んで、街に帰れなくなり、この店のオーナーが、自分の子供の様に、育ててくれたんだ。」


「じゃ、お兄さんは、ずっとここに、いるの?」


と、弟が聴くと、ウェイターは、「ああ、ずっとここしか、いないよ。探したこともあったけど、とうさんもかあさんも、優しくて、俺を大事にしてくれるから、俺は、ここでいいんだ」


「この海は、不思議な海で、朝も昼もないんだけど、夕方や夜は、とても綺麗で、特に星が綺麗で、いつも飽きずに過ごしているよ。」


「そうだよね。満天の空て、こういう空のことを、いうのかな?」


と、兄が言うと、「お兄ちゃんの自慢の海は、お兄ちゃん(ウェイター)の自慢の海でも、あるんだね。」と、弟が言った。


すると、少年が「お兄さん、ここいつも夜なの?僕がいるところは、毎日明るくて、青空が一面広がっているんだ。あの草原は、なんで、日が暮れないんだろう?」


すると、「その草原は、僕は行ったことがないんだ。街から、迷い出た時も、通らなかった。だから、その草原が、いつからあるのかもわからないよ。悪いな、頼りになれなくて」


すると、弟が、ウェイターに「お兄ちゃん、ママとパパ、どこに行っちゃったの?もう会えないの?」


すると、ウェイターは、難しそうな顔をして、「この世界はね、未来に生きるために、ある世界なんだよ。」


続けて「みんな、未来に生きるために、星々で暮らしているんだ。そして、時期が来れば、それぞれの場所に帰っていくんだよ」


少年たちは、意味がわからず困惑した。


「星?未来に帰る⁇どういうこと?」四人は、持って来られた料理も目に入らず、途方に暮れた。


すると、ウェイターのお兄さんは、「さ、温かいうちに食べな。

一ついうけど.この海で泊まっちゃいけないよ。食べたら、草原に帰るんだよ。」と、言うと、厨房に戻って行った。


兄は、「そういえば、僕はここで泊まったことなかったな。」


窓の外を見ると、こんがり色に輝いている空の下、いつも、同じ親子が、浜辺で遊んでいることに、気づいた。


なんとなく不安になってきた四人は、食べ終わると、急いで、レストランから出て、草原に帰って行った。


帰り道、妹が、「街にも帰れなくなっちゃったんだね。なんで海にしか行けないのかな?友達に会いたいよ。」


弟も、「僕さみしいよ。ママのご飯が食べたいな。」


兄は、「僕も不思議なんだよ。なんで、この草原に来れたか。」


少年は、「僕もいつからここにいるのか、わからないし、他のところに行きたいとも思わなかったから、わからないんだ。本当にごめんね」と

謝った。


「君のせいじゃないよ。僕も、なぜ来れたかわからないけど、きっとあの草原には、何か不思議なことがあるんだよ」


「そういえば、僕たち、始めて会ったのに、すぐ慣れたね。」


「うん、ほんとそれこそ不思議みたいな。。」


「あの海は、結構見つけるの苦労したよ、一日、歩き続けて、懐かしい海の香りがして、疲れていたけど、急いで、駆けて行ったんだ。そしたら、透き通った水に、真っ白い浜辺に、レストランもあって、僕疲れていることも忘れて、服を脱いで泳いだよ。」


「君は、僕と正反対だね、僕は、草原で、満足していたのに」


「そうだね。僕は、好奇心が多すぎると、パパによく叱られていたよ。

もうそのパパも、いないけど」


「夜に向かって、歩いていたと思うと、なんか、とても奇妙な気分になるよ。」


「もう少しで、草原に着くね。」少年は、帰れると、喜んだが、兄弟たちは、また、日が沈まない明るい草原に、帰るのかと思うと、げっそりした。

正直、あの海が、うらやましくなった。


草原に、帰ると、少年は、恋しそうに、草の上に寝転がった。


そして、「やっぱここが一番!」と、思わず言ってしまい、兄弟たちは、ムッとしてしまった。


ハッと気づいた少年は、きまずそうに、「ごめんね」と、謝った。


兄弟たちも、「ううん、謝ることないよ。僕も好きなところあるよ。あの海も好きだし、パパの仕事を手伝うのも楽しみだった。」


「あたしは、幼稚園。友達がたくさんいるんだよ。」


「幼稚園?あるの?ねえ、そういえば、いつからいるの?」



「うーんと、目が覚めたら、そばにママがいた。僕すごく小さかった。弟が、赤ちゃんで、まだ、きゃっきゃ手足を動かして、遊んでいたよ。」


「そうなんだ。僕も、きゃっきゃしていた時、あったのかなー?」


「きっとあったよ。僕、妹が産まれる時、見たもん。メチャちっちゃくて、触るの怖かった。でも、可愛いと思った。」


「僕たち、ここで、大きくなって行くのかな?正直、僕、ここから離れたくない」


「そうだね。ここから離れられないのかもね。でも、世界は広いと思うよ」


「どこかに、他のところに、行ける場所が、あるよ。

だって、僕、ここに来れたし、家にも帰れた。だから大丈夫だよ」


「そうだよ。また、街にも帰れるかもしれない。がんばろ、お兄ちゃん」

妹も、頷いて、手をつないだ。


しかし、正直、少年は、草原を、離れたくなかった。


緑の大草原に、一面水色の空。爽やかな優しい風。


ここで、この風に抱きしめられ、草の上に寝転ぶ。

こんな心地いいことは、他にはないと思っていた。


自分が、一人でいることも、なんの疑問もなかった。


でも、他の人と、始めて会ったのに、少しは、驚いたけど、怖いどころか、懐かしく感じたのは、とても奇妙に思えた。


そして、その日は、珍しく草原の少年は、青空の下、ぐっすり眠った。

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