第4話 死なないの!
目が覚めた、頭がすごくスッキリしてる。
「ふあ……ん?」
窓の外は真っ暗だった。儀式は成功したのかな。
いてもたってもいられなくなって廊下にでると、近くを歩いていた人に儀式の事を聞いた。
「あの、贈り物の儀式ってどうなりました?」
「ん……?成功……したんじゃないかな」
兵士さんはこっちをちらちら見ながら、歯切れの悪い返事をする。 自分が変なのかなと自分の姿を見直すと、肌が透けるような薄衣しかつけていなかった。
「ひいっ」
大声を上げそうになった……けれどなんとか我慢してさっきまでいた部屋に戻った。
よく見ると、そこは最初に通された部屋で、モードとココも同じ様な布をまとったまま眠っていた。
眠くはないけど、皆寝てると眠くなってくるきがする……。 寝ちゃってもいいかと思ってベッドでごろごろしていたら、いつのまにか寝てしまっていた。
朝、二人よりも早く目が覚めたので、椅子をココのベッドに寄せて寝顔をみる。モードとは違って日に焼けているけど、健康的な肌、綺麗な黒髪。
髪を撫でると心地よい感覚に心がくすぐられる。まあ私の青髪も自慢なんだけどね。 そう思って手を後ろに回し髪を肩越しに前に持ってきた。
「えっ?」
髪の色が空のような青から真っ赤に変わっていた。
「儀式のせいかな……?」
青い髪は馴染んでいたから好きだったけれど、この色は色で綺麗だ。
そんなことを考えていたら日が部屋に差し始め、モードが目を覚ました。
「おはよ」
「え? 誰?」
モードは私をみて一瞬わからないようだったけど、あっと気づいて口を開く。
「リル? かな? その髪どうしたの?」
「朝起きたらこうなってたの」
「おはよ」
ベッドから起き出して目をこすっているココが挨拶をしてくれた。
「おはようココ」
「うんー……ってなにそれ」
そりゃそうだ、青が赤くなってるんだもんね、二人共そんな反応だよね。
―――
食堂ではルカとクライド、そしてローレンツさんが待っていた。
「おはようー」
「おう、おはようさん……って、ん?」
目を凝らしてこちらを見ているルカがいた。
なんだか皆驚いてて逆に自分がおどろけなくなっちゃったよね。
朝食は野菜とお芋のスープだ、お芋好きなんだよね、お腹一杯になるし美味しいし。
髪の色の話やら、何やらで朝食を食べていると。
「ふふ、リル君の髪色の話もいいけれど。 私も話していいかな?」
ローレンツさんがそういうと、皆がすっと静かになった。
「今日は君たちがどんな贈り物をもらったのか、 そしてどういう使い方ができるのかを話したいと思います」
皆頷く。
「あ、食事が終わったら昨日と同じ部屋に集まって下さい、そこでね」
――
わたしを含めて全員がさっと食べ終えて教室へと移動した。
ローレンツさんが皆の前に立っている。
「まずルカ君」
「は、はい」
「君の能力は、素早い移動と超感覚、簡単にいえば凄い早く動けて、すごく耳が聞こえたり、鼻が良くなる能力」
「うーん?」
ルカがわかってるようなわかってないような返事をする。
「次にモードさん」
「はい」
「あなたは、味方の能力を上げ、敵の能力を下げるという者だ」
「応援……?わかりました」
応援ってなんだろ、私もできるけど。
「ココットさん」
「……はい」
「周囲の生き物の位置を察知し、それを味方へと伝えることが出来る」
「むう」
よくわかんない。
「クライド君」
「はい」
「体内に無限の魔力を蓄え、魔法を改良して圧縮したり……まあ都合よく魔法を改変できるって所か」
「無限」
「一番期待されている力だ、だがおそらく一番努力が必要になるであろう力だ」
ま、魔法がいくらでも使える・・?!しゅ・・しゅごすぎなのでは。
「リルティラさん」
「はい!」
「しなない、あと能力が衰えない……つまり常に一番いい状態で居られる」
「しなない!」
頑丈で健康ってこと? なんか地味じゃない?
ローレンツさんが咳払いをして続ける。
「非情な言い方ですが、ココットさん、モードさん、ルカ君の能力は非情に有用だという事が現時点でもわかりますし、クライド君も使いこなせれば絶対に強い能力です。リルティラ君の能力に関しては常に鍛え続けることで洗練される努力の能力です。 それぞれ頑張ってくださいね」
うっそでしょ……、努力なんてめんどくさい。
死にたくないの! CM @kaesu
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