第6話

「……え?」





少女は、母親の言葉が、一瞬、理解出来なかった。





「よかったわぁ、やっと安心したわ。あの化け物が、ようやく殺されるそうよ」



「え!?なんで!?なにも、悪いことしていないのに!?」



少女は、愕然とした顔で、信じられないと言う様に、母親に聞いた。



「化け物は、はやく、殺されるべきよ?」



しかし、母親は、わかってはくれなかった。



「あんなに、きれいな、人なのに、なんで、殺されなきゃいけないの!?ねぇ、なんで!?」



「なんでって、……あんなの、生きているのが間違っているのよ」



「…………」



少女は、まったく理解してくれない母親に、呆然とし、口を開けたまま、硬直した。



「あぁ、あとね、今から処刑されるそうよ」



「ッ!」



そう聞くと少女は、いきなり走ってドアを蹴飛ばし、外へ駆けていった。



「こらっ、待ちなさい!!」





止めようとする母親は目もくれず、少女は、全速力で走った。



途中、村人に、彼がどこで処刑されるか聞きながら、教えてもらった道の通りに、少女は走った。



足が疲れ、呼吸が荒くなっても、少女は構わず走り続けた。




走って、走って、走って……







………ようやく、彼のところに、たどり着いた。












ーーーー彼は、十字架に、はりつけになっていた。







  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

世界には、色があった。 霧カブラ @ryuukyuunohoshi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ