第5話





「はぁ、全く、化け物に何もされてなくて、よかったわ」



少女の母親は、安堵した様子で、ほっと溜息をついた。



「ねぇ、お母さん。あの人は、化け物なんかじゃないよ?」



「何言ってるの!?あんな、恐ろしい、見たこともないの、化け物以外の何者でもないのよ!?


とにかく、もう、この話はしない。わかった?」



「……はぁい」



少女の母親は、息を荒げて、あの化け物がどれだけ恐ろしかったか、説明した。



少女が、彼のことを弁解しても、母親は聞いてくれる余地もなかった。



仕方なく、少女は母親の言うことに、返事をした。



しかし、捕まった彼のことを、少女は気がかりだった。



少女の胸の中に、しこりが残った。













数日たったある日、少女の母親は、嬉しそうに声をあげて、少女を呼んだ。



「なぁに?お母さん」



少女は、笑顔の母親に、何か良いことがあったのかと、ちょっぴりワクワクした。



「さっき、聞いたんだけれど、ついに………























あの、化け物が、処刑されるらしいわよ」











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