第二章

第4話




彼は、この世界にはない ”色” を持った人だった。



まだ偏見のない少女にはきれいに見えただろうが、長く生活して来た、大人の母親に


は、きれいとは思ってもらえなかった様だ。



「ばっ…化け物よ!!うちの娘に触れないで!!」





それどころか、この世界の住人にとっては、彼は化け物そのものだった。





「え…?おかあさ」



「誰か来て!!うちの娘が、化け物に襲われる!!!」



少女の母親は、恐怖の顔に歪ませ、自分の娘を守るため、はち切れんばかりに叫んだ。



「いや、あのね、この人は」



「早くこっちへ来なさい!!」



少女の母親は、少女の腕を掴んで、強く引っ張った。そして、彼から離れさせた。



「誰かーー!誰か、来てーーーーーー!」




「待ってください、私は別に危害を加えようとは思ってもいません」




「誰か!!はやく!!化け物よぉぉぉぉおおおおお!!」





彼の言葉にも耳を傾けようともせず、少女の母親は、周辺にむかって、大声で助けてと叫んだ。




「なんだなんだ、なにがあっ……ばっ、!?化け物だぁぁああ!!?」



「ひぃッ、なんて恐ろしい………!!」



他の村人が、少女の母親の叫び声に気づき、それと同時に彼の存在にも気づいた様だった。



しかし、他の村人も同様に、彼は化け物としか見られなかった。




「捕縛しろッ!!奴は、化け物だッ!!」




彼の存在を、許容することは、出来なかった。




「はやく、あの、恐ろしい、化け物を!捕まえて!!」








ーーーー誰も、彼を、認めることは、出来なかった。










  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る