第7話 新人類ネオノイドと世界






「引き続き、こちらも『新人類』ネオノイド関連の事案ですが―――」


ニュース番組で、女性キャスターが読み上げる。

僕は通学カバンとは違うカバンに、財布と水筒を詰めながら、それを聞いていた。


テクノロジーは発達を続けている我が国ではあるが、テレビの画面は画面のままである。

空中にホログラム映像が浮かんだりはしていない。

サイバーな感じにはなっていないし、それで生活は便利である、十分に。

画質は良くなっていることは確かだ、文句はない。

ただ人類の英知である科学は、進化をしているがやや停滞の気を見せ始め、別の問題を耳にすることが多くなってきた。

人類というか、今までの人類。





西暦2045年。

この国には、人類と異なる、もう一種類の人類が住んでいる。

生活している。

通常の人間とは違うチカラをもつ、新人類ネオノイドが現れた世界。

そんな傾向から、この世界は最先端技術、テクノロジーの進歩とは違った性質の問題が増加しているようだ。


すなわちネオノイドの問題。

彼らの一部は脚光を浴びて、画面に登場することもある。

『日本初の能力者ネオノイド俳優』、綺羅羅きららをはじめとして、人気者になっている連中もいるようだ。

清々しいし微笑ましい―――まあ―――、結構なことなのだろう。


ちなみに僕は全く脚光を浴びていない。

何を隠そう、信じがたいことに、全く脚光を浴びていないのである―――。

砂護野晴は。

………別に傷つきもしないけどね?

キレてないっすよ、別に。

通常の高校生活を送っているだけですよ。

まあ俳優やアイドルになれればいいなと思ったことはないですしね。


だが、それはそうとしてニュースや………まあ他のメディアもそうであるが、悪い点や物騒な問題を懸命に取り上げる性質がある。

そうしてテレビに映すのである。


最近ホットなのはネオノイドの犯罪。

ネオノイドによる―――能力の悪用。

それだけでも大変な問題であるし、確かに無視できないものではあるが。


とある国の政治家の発言が、問題にもなった。


「―――ネオノイドという悪から、国民を守る」


と。

僕は別に、別段、それを聞いて悪い気分にはならなかった。

だが、しかし世論は違ったようだ。

ネオノイドに対する冒涜ぼうとく、歴史上間間まま有る、人種差別である―――。

いや、人種差別ではない、彼らは人間ではない。

そんな言い争い、水掛け論。


そうして物議をかもしている国は、リーエカという国だ。

戦乱が原因でつい数年前に立ち上がった、新しい国、国家らしい。


僕は、荷物の整理にひと段落ついたので、リモコンを操作する。

そろそろ家を出よう。

電源を切っても良かったのだが、電車が来る時刻までやや時間があったので、チャンネルを手癖で回す。

あんまりチャンネルを変えるのをやり過ぎると電気代がかさむ、と母さんがちくちく言ってきたけれど、本当かな。


「―――日本を照らすのは、新しい光」


綺羅羅きららが瞳にオレンジ色の光を宿す場面。

まあ、整った顔立ちの男だ。

僕は惚れはしないが、惚れる女子もいるのだろう。

見慣れたCMだった。

僕は、俳優やアイドルにそこまで陶酔した経験がないので、よく知らないけれど。

ネオノイドは、着実にこの社会に、適応しつつある、みこみつつある。



「まあ、大して持っていくものもないし、こんなものか」


鞄のファスナーを閉める僕。

これから出かけるのだ。

ギミーさんのもとへ、能力を磨く修行のために―――。


僕はテレビの電源を切った。


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