Chapter1

Side 御園

シャンデリアの煌めきがとっても眩しい。

多くの人がこの場に集まり、ざわついている。

「あの方ももう17歳になったのか」

「早いわね~」


などの他愛のない会話。


そう、ここはかの有名な「翡翠財閥」の「豪華な屋敷」

屋敷には絢爛豪華な調度品や絵画

そして、今日の主役である翡翠財閥の一人娘、つまり令嬢様の肖像画も飾ってあった。


俺もまぁまぁ地位の高い家に産まれた。

だからこそ、こうして「翡翠癒凪 誕生祭」に招待された。


俺の家と、翡翠家との繋がりは多少あったものの、それは俺の親と翡翠癒凪のご両親の仕事。俺は肖像画でしか彼女の容姿を拝見したことはない。

つまり、今日が初めての対面。


彼女は今年で17になるらしい。

俺の二つ下である。


そして、今この会場では翡翠癒凪の結婚相手の話題も出ている。

もうそろそろ、発表があるそうだ。

恐らく「政略結婚」

金持ちの令嬢様ならよくあることらしい。


彼女がそれを望んでいるのかなんて、そんなことはわからない。

俺には関係のない話だ。


「皆様、大変長らくお待たせしました。

 これより、翡翠癒凪様の誕生祭を始めさせ

ていただきます」


ようやく始まった。

我一番と言わんばかりに、みんな翡翠癒凪見たくてざわつきが増している。


「皆様、一旦落ち着いてください。

 そう騒がれますと癒凪様も緊張なさってし

まいますよ?」


そう言った途端みんなは、静かになった。


恐らく、翡翠癒凪は美しいドレスに身を包み、煌びやかなアクセサリーをつけ登場するに違いない。


「それでは、癒凪様のご登場です!」


みんなの割れるような拍手と、歓声の渦の中登場してきた翡翠癒凪は、


とても美しかった。


顔がとても整っており、色白で、まるで陶器のように透き通っている肌。

照れているのか少し赤らんだ頬。

細く、白く、長い手足に指。

大きな薄ピンク色の瞳。

口紅で赤くなった唇。

艶やかな髪。


そんな彼女を綺麗な薄紫をベースにした、ふんわりとしたドレスが包み込む。

首元、耳元や指で時折光る、ネックレスやイヤリング、それに指輪。


全てが彼女を目立たせていた。


みんなから、滝のように誉め言葉をもらっていた。


そんな彼女に俺は一目惚れしてしまった。


それが俺の狂った恋の始まりだった。

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