オカマとくま①
登校中ふと気づいた
「そういえば私、まだくまちゃんとちゃんとおしゃべりも挨拶もしてないわね~」
転入初日は大騒ぎ、その後も何かと会う機会がすくなかったしなんか避けられていると感じていた。
「……ひょっとして認めてくれてないのかしら?」
叛闘高校は武装高校に恨みを持つものたちの集まりだ
そんな中に目的が明らかに違うのがいる。言わば異物。
確実に目的を達成するためには最大限不安要素を排除するのは鉄則だ。ましてや隊長のベルは何を考えてるか解らないところがある。
そのため、くまは副隊長としてオカマの存在を危惧している可能性は充分ありえる。
「だとしたら寂しいわね…せっかくまた逢えたのに」
少しアンニュイな気分になり、表情に陰りが出てきたが
オカマは我にかえり深呼吸した。
「まぁとりあえず、今日を楽しもうかしらね♪」
そう気持ちを切り替え、教室に向かった。
教室のドアを開けたら何かがものすごい勢いで飛んできた。
「あらあら?♪」
直撃コースだったが、笑顔のまま上半身を大きく仰け反り回避、
直後に空いたスペースに真っ直ぐ飛んできた物体の真ん中に腕を回してホールドした。
そのまま、身体を反らす力を利用して物体の軌道を弧を描くように変え勢い任せに廊下に突き立てた。
突き立てた際にブリッジ状態になった身体を起こし
「ふぅ~危なかった~♪」
「おはよ~♪」
そのまま教室に入っていった
(うゎあ……)
呆然とその光景を見ていた生徒達は冷や汗を浮かべていた。
「カンカンカーン♪、見事にきまりましたぁあ!ツープラトン攻撃!!
この試合、ベルオカマタッグの勝利です。くまは無念にもリングに沈みもとい突き刺さりましたぁあ!!」
自分で自分の実況をして拳を天井に振り上げている隊長
そして気付いたらペアにされていたオカマ。
「あらあら♪今日も元気ね~♪」
「ん?くまちゃん?」
振り替えって見ると先程の物体はくまだった。
廊下に頭から刺さり、直立のままビクンッビクン痙攣している。
「あらあらまぁまぁ♪」
下の階からは悲鳴が聞こえてくる、どうやら下まで貫通したようだ。
「今日は何してたの?プロレス?」
ベルは拳をタオルで拭きつつ
「うんにゃ、野球拳」
「……あぁ♪そうなの♪(野球拳って人が吹き飛ぶのね……)」
若干苦笑いしつつ
「(文字通り野球だから、ボールの如く拳が飛んできたのねぇ……くまちゃんドンマイ♪)」
「(しかもベルちゃんって……まぁ良いか、この話はやめましょう)」
「さて!今日の御菓子はシュークリームよ~♪」 サッ!
箱を持ち上げたら、持ち手から下がなくなっている。
「あら?」
ベルに既に奪われていた。
「頂きま~す!」
「まぁまぁ♪」
「そういえばやださぁ~ん!、来たばっかりで申し訳ないんだけどぉ~ 」
「君に初任務を与えるよ」
いきなり切り替わった、スイッチが入ったようだ
矢田の方も雰囲気が変わり
「うふふ♪了解よ。」
満面の笑みをで応えるがその笑みはいつもと違うものをまとっていた。
「今回は二人で行ってもらう。パートナーは君が選んで良いよ」
「そう?」
考えながら思い立ったように廊下に刺さってるのを見て
「(いい機会ね♪)」
そう思い
「じゃあくまちゃんにお願いしようかしら♪」
「わかった。詳細はこれにいれてあるから後で読んどいて」
「やり方は君に任せるよ」
ベルからマイクロSDカードを渡された。
「はぁ~い♪」
「本当は私も行きたかったけど今回は用事があるから無理なんだ」
「そう?じゃあまたの機会をたのしみにしてるわね♪」
「じゃあ行くわ♪お土産楽しみにしてて♪」
廊下に突き刺さる副隊長を引っこ抜き矢田は任務に赴いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます