新人1-3
「あそこか…」
ようやく、新入りとの合流地点のカフェが見えてきた
カフェ[エバーガーデン]
公園の西側、並木通りに隣接していているが比較的静かな場所にその店はあった。
外観はロッジのようなつくりになっていて、穏やかな雰囲気を醸し出している。
道中、ネットで調べたところ食事はそこそこな値段設定をしてるが、
この店の人気はスイーツだった。
季節や旬でメニューが全て切り替わるし、パティシエの気分次第でその日限定のスィーツがあったりするので、毎日通ったとしてもメニューを制覇難しいと言われている。スイーツは安いということもあって幅広い年齢に人気があるようだ。
「チッ、こんなとこで呑気な茶なんか飲みやがって」
ベルとのやり取りでイライラがつのっている。
何か八つ当たりする口実が欲しい。
「新入りの癖に生意気だな!しっかり上下関係をつけてやらねぇとな」
「もし男なら出会い頭にぶん殴ってやる」
などと、まだ見ぬ新参者にその矛先を向ける気でいたのであった。
カフェに近づきながら
「テラス側にいるっていってたな。どこだ?」と探してみた。
テラス席は並木通り側にテーブルが並べられており、木々の間からこぼれる日の光が心地よい暖かさをもたらし、憩いの場をとして絶好の場所になっていた。
テラス席は数組の客が利用してい、ランチを食べているOLさん達、パソコンを開き仕事をしている男性、席を繋げ談笑しているご婦人達、本を読みつつ優雅にコーヒーを飲んでいる老人は見受けられるが、探しているそれらしい人物は発見できない。
「いねぇじゃねぇか!」
「クソがっ!また、嵌めやがったな!!」
自分はただ遊ばれただけだと思い今度こそ嫌気がさした。
「やってらんねぇ…」
そう言いつつ来た道を戻り始めた。
「今回ばかりは許さねぇ、戻ったら殺してやる、ついでに現れなかった新入りも殺す」
暴言を吐き、忌々しそうにカフェを睨み付けたら、ふと気付いた。
テラス席で談笑しているご婦人方の後ろに誰か座っている……
先程の位置からは完全に隠れて見えないところに、もう一人座っていたのだ。
遠いので顔はわからないが、制服を着ているしる。そして何よりガンバックがテーブルに立て掛けてあった。
「アイツか?…」
「んだよ!!いるじゃねえか」
黒の制服で髪は赤茶で短い
遠いが見る限り女生徒のようだ。
「やはり女か……」
「ふざけやがって、隠れてるんじゃねえよ」
そんな身勝手な独り言を呟きつつ、再び足を向けた。
近づくにつれて全体像がみえてくるがそんなことをいちいち確認する気はない。
頭のなかは苛立ちで一杯なのだ
「女でも構わねぇ、こうなったら徹底的に教育してる!!」
八つ当たりする気満々でカフェに近づいていく。
だが
くま「!!?」
くまは突然足を止めた。
今日一日イライラしっぱなしだったが、新入りの姿を確認した瞬間に一気に冷めていき身体の体温までもが下がっていくように感じる。
ちゃんと確認しなかったのはミスだ。イライラで感情が昂っていたからであるが、
それを激しく後悔した。
確かに合流予定だった新参者はいた
黒のブレザーに黒のスカート、黒いタイツ、髪は赤茶でショートヘアー
そしてガンケースも持っている。
テーブルには注文したのであろうアイスコーヒーとケーキやシュークリームなどがあった。
くまは呆然と立ち尽くし見ていた。
「嘘...だろぉ...」
注文したケーキを満面の笑みで頬張っている
「オカマ」を
くまはオカマを見つつ思った。
(結局録な事にならないんだな)
「ん?………」
そのオカマはくまに気付き
「やぁ!くまちゃん、 おひさりぶり~♪」
満面の笑みでこちらに手を振ってきた。
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