第7話 赤とんぼの軌跡
それで、土の匂いがする。
僕は日陰の土の湿度を、背中に感じている。
地面に横たわっていた。いつだって、この
クーラー効いた自室で勉強する、中学2年の姉の絵が浮かんだ。
今日の朝食は、卵の殻の入ったスクランブルエッグと、焦げたトーストだった。恐らくは、姉が初めて作った朝食。
「ごめん、料理、そのうち上達すると思うから」
僕は何も言えなかった。
昨晩、なにがあったのか、僕以外の家族はわかっているようだった。
泣き崩れた母。怒って怒鳴る父。
朝になったら、母はもういなかった。
首筋を汗が伝った。どんなにTシャツが汚れても、きっともう母さんには怒られない気がする。
腹の虫がなった。
心も空っぽだ。
暑さにまどろんで、僕の
もはや僕は僕としての形を、なくしたい気持ちだった。
「しょおおおおおおおおおおおおおやぁああああああああああああああああ!」
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