第七葉 肉じゃが(恋愛)

 私の彼は警察官だ。休みがあってないようなもの。県外に出るときは届出をしなければいけないし、非番の日でも電話ひとつで呼び出される――おまえはピザ屋の宅配か! 家に帰れないときも度々あって連絡すらないときも多い。

 これから私たちどうなるんだろ。


 一週間前、早く帰れそうだからってメールが来た。翌日非番なので、夕食でも作ってそのまま彼の家に泊ろうと思って出かけた。

 途中で食材を買って夕食を作って彼の帰りを待ったけれど、いっこうに帰ってくる気配がない。


『ウソつき!』


 それだけメールをして彼のアパートから帰って来てしまった。その返事が来たのが翌日の昼。


『しばらく帰れそうにない』とだけ。


 付き合っていても、こんなに寂しい思いをするなら一層のこと別れてしまった方が楽になれるんじゃないかな――そんな考えすら出てくる。


 携帯のバイブが焦って震えた。彼からだ。

 私の考えていたことを察知したのか、絶妙なタイミングだった。


『やっと家に帰って来れて、冷蔵庫見たら美味しそうな肉じゃががあったよ。作ってくれたんだね。ありがとう』


 一週間ぶりのご帰還か……。

 少し溜息混じりでメールをスクロールしていく。


『これ美味しいね。この酸味がたまらない』


 ばか――。それ一週間前の肉じゃがだよ。


 私は、『今から食事作りにいくから、それを食べないで待ってて』と返信をし、彼のアパートへと向かった。


 ホントに……バカなんだから――



-FIN-

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