第4話~春斗の目に映る景色~
あれから数年後、俺たち4人は母校の文化祭に来ていた。小説科の出展ブース。そこは伝統を引き継がれ、合格した生徒達が店を出していた。懐かしくて二人で買ってから先生の所に顔を出した。先生は俺たちの活躍を知っていてかなり喜んでくれた。その後解散して俺と咲希、夏海と夏澄で分かれて行動した。
「懐かしいね、ここから今の私たちが始まったんだよね。」
「そうだな、今年のやつらは飛び級卒業できるか楽しみだね。」
そんなことを話しながら俺たちはあの教室に向かっていた。俺たちが告白し合ったあの教室に。
「…ついたね。」
「そうだな。」
幸い、ブースとかにはなってなかった。
「ほんとに懐かしいね。ここで告白し合って、ここで一緒に花火見たよね。」
「…あれ、超緊張したな…。」
「ふふ、そうだね、私も言うときは緊張した。」
そんなことを言いながらもお互い感傷に浸った。いや、俺は浸ってる暇なんてなかった。これこれからやることを考えて。
「なあ、咲希。」
「ん?何?」
そう言ってこっちを見る咲希に、俺は無言で箱を見せた。手のひらサイズの黒い箱。咲希はそれを見て首を傾げた。
「どうしたの?」
「…ずっと、考えてたんだ。咲希と離れないためにはどうしたらいいか。」
俺がそう言うと、それだけで察した咲希が両手で口を覆った。でも、全部言わせてほしい。
「もう、離れたくない。咲希も同じ気持ちなら、これを受け取ってほしい。」
そう言って俺は箱を開いた。小さいけど、精一杯の宝石の付いた指輪。
「…結婚して下さい。」
俺がそう言うと咲希は泣き出してしまった。なのにちゃんと指輪を受け取って、しばらくして答えてくれた。
「…はい!」
その返事を聞いてかなり安心した。それから咲希を落ち着かせるのに苦労した。
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