第2話入学式(後編)
キーンコーンカーンコーン
宇野先生「それでは次に係・委員会決めをします。では、まず学級委員を決めたいと思います。と、言いたいところですが、僕はこのクラスのことを全然知らない。どの子にどんな才能があるかもわからない。そして、学級委員をやることによって新しい可能性を見つける人もいると思うんだ。だから、この場はお天道様に任せて学級委員はくじ引きで決めようと思うんだが、反対の人はいるかい?」
みんな不安な顔をする。それはそのはず、本来なら成績優秀者がやるはずである、クラスの代表をくじ引きというもので決めようとしているのだから。
光(この先生面白いなぁ、まぁこの人数の中で当たる確率は低いだろうから大丈夫だろうけど)
望愛(そういう決め方もありなんだぁ、この先生面白いなぁ、いつも美穂が私を推薦したがるから困っちゃうんだよね)
宇野先生「じゃあ男子と女子一人ずつだぞー」
先生が箱に手を入れてくじを引いた。そこに書いてあった名前は...
宇野先生「岩見!女子の学級委員はお前だ!!」
望愛「えっ!!??」
美穂「よかったじゃん!ww今完全に気抜いてたでしょwww」
後ろから美穂に爆笑される
望愛「う、うん。あははは...」
望愛は仕方がないと思いながら気を落とした。
宇野先生「じゃあ男子の方も引くぞー!」
望愛「誰になるんだろう?」
宇野先生「鷹見!!男子の学級委員は鷹見に決定!」
光「は!?ちょっと先生待ってください!!」
光は必死な目で先生に訴えた。
宇野先生「どうした?まさか嫌とは言わないだろうな?」
光「...僕はそんなに賢くないですよ?みんなを引っ張るなんて考えたこともありません。取り下げてもらえませんか?」
望愛「光くん...」
宇野先生は笑った、
光「なんで笑うんですか?」
宇野先生「鷹見、お前は成績で学級委員が務まると思ってるのか?だとしたらその考えを捨てろ。一番大事なことはお前は知ってるか?」
光「みんなを引っ張るために考えて配慮して行動することじゃないんですか?」
宇野先生「それも間違っちゃいない、だがそこまでわかってるんだったら十分だと思うんだがどうだ?」
光「僕は...いえ、なんでもないです。」
光は思いつめた顔をしてそう言った。
宇野先生「?、じゃあやってくれるんだな?」
光「...はい」
みんなが光に不安を覚えながら学級委員は決まった。
ただ望愛はすごく嬉しそうだった。
望愛「光くん!一緒に頑張ろ!」
光「...」
光は黙っていたが、
望愛「ねー!なんで反応してくれないの!?」
望愛はこの通りだ。
光(学級委員か...やりたくなかったな...嫌な思い出だよ...)
望愛「光くん!!前行くよ!!」
光「え?あ、ちょっと!」
望愛が光の袖を掴んで前へ行く
宇野先生「じゃあ意気込みを頼むぞー!」
望愛「はい、みんなと楽しい生活ができるように全力で頑張ります!どうぞよろしくお願いします!」
パチパチパチパチ
宇野先生「うん、しっかり頼むぞ。次、鷹見!」
光「...」
光は黙っている、それを見てみんな冷たい目線を光に当てる
望愛は心配になった。
望愛「光くん、早くなんか言わないと...」
光はまた思いつめた顔をしている。
光(...気がのらないなぁ、またあんなこと起こるはずもないのに何を怖がってるんだ、もう今は高校生でメンバーも新しいだろ。なんもためらうこともないはずじゃんか。...ごめんな)
宇野先生「...」
ざわざわざわざわ
望愛「もー、光くん!!」
光「はぁー、すぅーーーー」
光は息を吐いて吸った。
光「この度学級委員となりました!!鷹見光です!みんなと一緒に楽しく高校生活が送れるよう精一杯頑張りますんで、みんなも楽しい高校生活送れるよう一緒に頑張っていきましょう!!よろしくお願いします!!」
シーン
光(やっぱこうなるよな最初は...)
宇野先生「はっはっは!!」
望愛「はははは!!なにそれ!」
みんなが笑った、みんなが光の言葉に笑い、光を信用した。
宇野先生「それでこそ学級委員だ!!それにしても生徒会みたいな挨拶だったな!お天道様がお前を選んだ理由がわかる気がするよ!」
望愛「最初はどうなることかと思ったけど良かったー!」
宇野先生「じゃあ学級委員が中心になって残りの係も決めてくれ!」
光・望愛「はい!!」
こうして入学式初日は終わった
そして帰り道、
美穂「望愛?まだ怒ってるの?」
望愛「むー!だってだってー!!光くん何にも反応してくれないんだもん!!」
美穂「んー、女子にはみんなそんな反応だったね。女の先輩から話しかけられてても全部無視だったし」
望愛「私もいっぱいクラスの男子とかから遊び誘われたよ?断ったけど」
美穂「そりゃあんたは美人だしね」
望愛「んー、女子嫌いなのかなー光くん」
美穂「そうかもね、でも珍しいね」
望愛「なにが?」
美穂「あんたを無視する人も始めてだし、あんたがずっと他人のこと気にしてるのも珍しい」
望愛「なんだろうねー、光くんなんだか不思議なものを感じるっていうか、オーラが出てるっていうか、....よーし、決めた!!!!」
美穂「まーた、変なこと思いついた?」
望愛「光くんと絶対仲良くなるぞー!!」
美穂「あーはいはい、頑張ってね、学級委員一緒で良かったじゃん」
望愛「...」
美穂「どしたの?」
望愛「光くんあの暗い顔してた時なに考えてたんだろうなと思って」
美穂「さあ、ただ嫌だったんじゃない?」
望愛「そうかなぁ?」
美穂「ま、気になるんだったら仲良くなって聞いてみるのが一番だよ」
望愛「うん!!頑張る!」
望愛は光と仲良くなることを心に強く誓うのであった
一方光は、家の前で奏と話していた
光「はぁ」
奏「どしたー?」
光「いや、散々な初日だったなーって思って」
奏「学級委員ねえ、中学の頃ずっとやってたじゃん」
光「お前わかってるだろ?」
奏「すまんすまん、ま、俺も学級委員だから仲良くやろうぜ!」
光「え?お前も?」
奏「まあな、新しいことなんかやりたくてさ、ぴったりだろ」
光「そっか、クラス違うけど一緒の委員会か、よろしく頼むわ」
奏「おう、こちらこそ、それにお前の相方さんに会うの楽しみだわ」
光「ああ、あのモアイな」
奏「お前に無視されるのに何回もお前に話しかけるんだろ?度胸あるよなぁ」
光「...ああ」
奏「やっぱまだ引きずってるよな...」
光「忘れられるわけないだろ...」
奏「まあ、楽しみにしてるよ、今度カラオケかボーリングでも行こうぜ」
光「ああ」
奏「それじゃ!」
光「また明日!」
光は家の中に入り妹を待ちながら夕飯を作り始めた。
光「岩見望愛..か...」
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