第4話 出会いと死亡

初めての勝利を収めた僕は、

ディンに感謝した。


「ありがとう。レベルも上がったよ。」


そう僕が話すと、


「よかったな!どのステータス上がったか見とくといいよ」というディン。



どうやらこのゲームはキャラクターによって個性があるらしい。


ステータスの伸び率や、スキルの習得など、全くのランダムのようだった。




「平等じゃないよなー。ま、それが面白いんだけどよ。」


そう笑うディンだったが、僕は全く笑えなかった。




なぜなら、

キャラクターを作り直すことができない僕にとってそれは死活問題だからだ。




もういっそ最初の街に篭っていようかとも思った。



そのうち悪い夢も覚めるだろう。





しかし、それは許されなかった。






突然効果音が鳴った。



グー…




「ん?腹鳴ってるぞ。なんだコウ、食事全然してないじゃん!食べに行くぞ!」





どうやら僕の空腹ポイントがゼロに迫っていたようだった。




「それゼロになったら餓死するぞ!」





…本当にこのゲームは難易度が高いらしい。






走って飯屋に辿り着いた僕とディン。






食事をしようとしたものの、お金が足りないことに気づく僕。





「そっか、さっきお金使っちゃったんだ…!」


僕が焦っていると、この場はディンが出してくれた。



「仕方ないなぁ。ここは俺の奢りだ!」



本当に頼りになる男だ。



僕はすでに何度もディンに命を救われていた。





最初の街に篭っていても、腹は減る。



ディンに頼り続けることもできない。


ディンがログアウトしたら、僕は一人なのだ。




結局、僕は冒険するしかないのだ。






何より、この世界に興味があった。





「ディン、次の村に行こう!」




「おう、いいぜ!」







そうして、ディンと僕は最初の村を目指した。




道中現れるのはゴブリン程度。



二人旅だったが、ディンが強かったので難なく進むことができた。




そんな時…




「だれかたすけてー!!」




そんな声が聞こえた。




そこにいたのは、レイファンという女性キャラクター。



パーティメンバーも他にもう一人いるようだ。




どうやら運悪くゴブリンのレアバージョン、ゴブリンメイジに出会ってしまったらしい。


普通は逃げればいいのだが、調子に乗ったパーティメンバーがゴブリンメイジに攻撃を仕掛けてしまったらしい。



ゴブリンメイジのレベルは12。


レイファンのパーティは三人だったようだが、すでに一人やられてしまい、今二人になっているようだ。




「今行くぞ!!」




正義感の強いディンは、すぐさま救出に向かった。




ディンが行くのなら、僕もついていかざるを得ない。




「すみません!ありがとうございます!!」というレイファン。




「スキル!正義の盾!!」


ディンはスキルを使い、自分の防御力を上げ、敵の攻撃を自分に集めた。


ゴブリンメイジは魔法を放つ。





中位程度の炎魔法だったが、序盤の僕らにとっては驚異的な魔法だ。




盾でガードするディン。



連発で魔法を放つゴブリンメイジ。



「防御解いたら死ぬ!攻撃ができないやばい!」



そう話すディンに、僕は焦った。




レイファンも魔法を放つが、ゴブリンメイジは魔法防御も高く、大したダメージにならないようだった。



その時、レイファンのパーティメンバーは僕らを囮にレイファンを残して逃げ出した。


黙ってパーティを解散し、一目散に去っていったのだ。








もう、僕しかいない…!





「うおおお!!!」



叫びながら、銅の剣で攻撃を開始した。






ゴブリンメイジに少しのダメージを与える僕。


よろけさせることに成功する。


ゴブリンメイジの攻撃の手が止まった。




その瞬間、「スキル!突進!」と言いディンがゴブリンメイジに突進する。





突進により大ダメージを与えるも、ゴブリンメイジはまだ動きを止めない。




もう一度魔法を放つゴブリンメイジ。



それはレアモンスターが死に際に放つという、

強力な魔法だった。




その魔法は僕に向かって飛んできた。







ゴォォォォォ…!!!!






轟音が鳴り響き、僕は死を覚悟した。





「スキル!突進!スキル!正義の盾!」




スキル突進のスピードを利用して、ディンは素早く僕の前に立ち、


そして、スキル正義の盾で防御力を上げ魔法をガードしたのだ。





すかさずレイファンが魔法を放つと、


ゴブリンメイジはついに倒れた。







「やったー!!!」



僕は思わず叫んだ。




初めて体感した死の恐怖。



しかし、僕らは勝ったのだ。




しかもレアモンスターを倒したことから、レベルもかなり上がった。


「本当にありがとうございました!!!!」というレイファン。



喜んでいると、



「ごめん、パーティ解散するわ」




というディンの声が聞こえた。





「え?」





一体何があったのか、僕がディンの方を見ると…?






ディンは倒れ、光に包まれている。




「やっちゃったわ…。すまん。」




僕の前にウインドウが現れる。



『ディンは死亡しました』



『パーティを解散しました』








現在のパーティメンバー


ディンLv10 死亡

コウLv7


次の話へ続く…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る