第3話 ディンと初勝利

ディンというプレイヤーと出会った僕。


ディンはLv10の冒険者で、初心者ではないようだった。


「俺もこのゲーム始めて間もないから、そんなに詳しくはないんだけどさ」


というディンは、さっきまで死にかけていた僕にとって、頼もしい存在だった。


ディンと話しててわかったことだが、どうやらこのゲームはかなり難易度が高いようだった。


ソロプレイヤーはあまりおらず、みんなパーティを組んで冒険しているようだった。


それでミウも僕に声をかけたのだろう。


そしてこのゲームは、アクションRPGのようだった。


まぁそれはあまり今の僕には関係ないのだが…。


僕はゲームが好きだったから、コントローラーさばきにも自信があった。


特にアクションゲームは好きで、遊び倒したほどだったが、その経験も一切この世界では役に立たないようだった。


「まずは装備を整えないとな!」


そう話すディン。


ディンは僕を武器防具屋に連れていってくれた。


「そんな装備じゃ死ぬに決まってるよ。死んだら終わりなんだから、武器と防具は揃えようぜ」


死んだら終わりなんだから…?


ディンのその言葉に僕はひっかかるものを感じたが、ディンの勧めるがままに武器を選ぶ。


僕は剣が欲しかった。


持ち金は1000G。


僕のレベルでも装備できる『銅の剣』は500Gだ。


これを購入し、残りのお金で盾を買った。


その後、ディンからお下がりの兜と鎧を貰い、フル装備になった。


ディンは面倒見のいい男のようだった。


「よし、これならいけるだろ!早速ゴブリンでも狩りにいこうぜ!」


そう話すディン。


「ところでさっきの、死んだら終わりって、なんかペナルティでもあるの?」


そう尋ねる僕。


「あぁ、キャラクターが削除されるんだよ」


と答えるディン。


「キャラクター削除?!」


思わず声を張り上げる僕。


「そうそう。知らなかったのか?それがウリのゲームでもあるんだけど。緊張感あるよなー。まぁそこがスリルがあっていいんだけどな!」と笑うディン。


死んだらキャラクターが削除されるこの世界で、僕は死んだらどこへ行くのか。


もう、ゲームの世界だからとワクワクしていたあの頃の余裕はどこかへ消えた。


だって、もうこれは僕にとって現実なのだから。


「よし、ここら辺で狩るか!」


ディンと僕は街の外に来ていた。


すぐそばには兵士もいるし、ディンもいる。


さらにフル装備なのだから、そう簡単に死にはしない。


レベルを上げるためにも、僕はゴブリンを狩らなくてはいけないのだ。


目の前に現れたのは、ゴブリンLv4が二体。


複数現れることもあるようだった。


「よし、いくぞ!!」


「スキル!突進!!」


ディンがそう叫ぶと、ディンの体が光る。


ゴブリンに向けて文字通り突進するディン。


一匹のゴブリンに当たり、そのゴブリンは倒れた。


もう一匹のゴブリンはディンに向けて攻撃をする。


ディンは持っていた大盾で攻撃をガードする。


「何ぼさっとしてるんだ!攻撃して!」


そう言われると、僕は慌てて銅の剣を振るった。


ディンに攻撃していたゴブリンに、不意打ちをすると、ゴブリンは倒れた。


「ナイス!」というディン。


倒れたゴブリンは光に包まれ、消えた。


白いモヤのようなものが僕の体の中に入ると、


チャラリーンという効果音が鳴る。


僕のレベルが上がったようだった。


「おめでとー」というディンに、僕はオンラインゲームの楽しさを思い出した。


と、同時にゲームだった時のお気楽さが恋しいと僕は思った。





この後、死んだら終わりのこの世界の恐ろしさを、僕は知ることになる。

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