第14話 僕の話

血が止まりません。

カラスについばまれて僕の肉は少しずつなくなり、

あばら骨が見えています。

僕が轢かれた瞬間、僕は運転手の顔を見ました。

運転手は僕でした。

また一羽カラスがやってきました。

そのカラスも僕です。

車が1台僕を避けて通りすぎました。

カラスは一斉に飛び立ちます。

どのカラスも僕です。

僕はそのカラスの群れを視界の隅にとめて、

ああ、朝から憂鬱なものを見てしまった、と思いながら、

ハンドルをしっかりと握って会社へ向かいます。

血が止まりません。

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