第8話 雲の糸

巨大な入道雲から、いくつものワイヤーが垂れ下がっている。


僕は1本のワイヤーの端末を手に取る。


これはどこに繋がってるのだろうか。


雲は巨大で不定形で全く何もわからない。


僕はワイヤーをたぐって登ってみる。


ぐんぐん上ってワイヤーは雲を突き抜ける。


なんとワイヤーは雲よりもっと上から垂れ下がっていたのだ。


満天の星空が見える。


星空の中に開いた窓ある。


ワイヤーはその窓の中に続いている。


窓をくぐり抜ける。


何もない空間で、目隠しをした人々が、何かを探してうろうろしている。


再び頭上に窓がある。


僕は潜り抜ける。


鮮やかな大自然の中で、大量の金と豪華な料理と人間の屍骸が山積みになっている。


頭上にドアがある。


ドアはぴったりと閉じられ、ワイヤーはドアノブに結び付けられている。


僕が右手でドアノブを掴むと。ワイヤーはぼろぼろに崩れて落ちて行った。


ドアが開き、僕は反動で大きく揺れて落ちそうになる。


反射的に左手を伸ばす。


左手はドアの向こうの誰かの手に、しっかりと掴まれる。

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