第5話 拡散
僕の体は歪んで宙に浮かび、ずぶぬれの地面に叩きつけられた。
立ち上がろうとしたけれど、足に力が入らなくて動けなかった。
悲しくなって僕はか細く鳴き続けた。
僕の足の上を重たいのものが踏んでいった。
粉々になっていく僕の足が見えた。
僕の体の上を重たいのものが踏んでいった。
肺がぺしゃんこになって、喉からきゅうと声が出た。
雨がいっそう激しくなった。
僕の脳の電気信号は弱まっていった。
僕の成分が溶けて雨に混ざって拡散していった。
海に流れ着いて、雲になって、また雨になって、
どんどん拡散して地球のあらゆるものと混ざっていく。
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