決闘
美作為朝
決闘。
今日は、なにごとも普段通りにしなければ、ならない。
そうしなければ、周到に用意した、
自宅のある駅の二つ前の駅で、普通列車に乗り換えるとがらっと乗客数が減る。こんなに緊張して帰宅するのは、人生で始めてだ。夕日が列車の窓から入り、
自宅の最寄り駅で下車すると改札をICカードで通過し、駅のコインロッカーを開け、二つ向こうの駅のホームセンターで購入した、塗装用のつなぎの作業服と、不透明のレジ袋に包まれた、近所のホームセンターで購入した出刃包丁を出した。
これは、当然の復讐なのだ。
妻、
なにか、おかしい。妙に華やぎ、妙に
確信を得たというより、証拠をしっかり見たのは、午後から妻には内緒で会社に休暇をとり、まるで、泥棒かスパイのように自宅に忍んで帰宅した時。
こんな情けない男がいるだろうか。妻の浮気を確認するために有給を取り帰宅する男。 それが
真っ昼間に音もさせず門扉を開け、、ローンの残る自宅の庭からローンの残る自宅の窓から中をこそ泥のように覗き込み、すべてを知った。
どうして、そういったことが出来るのだ、小学生の娘まで居る身であろう。
ありとあらゆる感情が巻き起こり、
しかし、小一時間もすると、
"復讐するは我にあり"。
姦通は罪状に値する。その男の事を愛しているのなら、きちっと
こういう卑怯なやり方は、世間や現在の法体型が許しても
寝取られ男の意地を知れ。その時は、すべてがもう遅いのだ。
頭にはヘアハット。手には、医療用のゴム手袋。ぴっちり首元までつなぎを着た
音もさせず、自宅の玄関を
靴下の上にレジ袋を履き、輪ゴムで足首で留めてある。
この時間、妻、
妻が居た。
が、突然、妻、
そんなに大きな家ではない。キッチンも狭い。
「あら、あなた」
ものすごい衝撃を
娘の
娘の
「パパが変な女の人と抱き合ってるのママに言ったの」
「あらあら、大変ね、あなた、大丈夫、最低の慈悲としてとどめは痛まないようにしてあげるわ、これでも、私は優しい女なのよ、残す言葉があるなら聞くわ」
「でも、残念ながらしゃべれそうにないわね」
「大変だったのよう、夫に気づかれるように浮気するのも」
それが、
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます