最高のロボット

「ロボットができたぞ!」

博士は嬉しくて大声を出した。

「それも、世界最高のロボットだ!」

興奮してつい、大きな声で言ってしまった。


「なに。世界最高のロボットだと。」

博士の家の近くを歩いていた泥棒が、その声に気づく。

「そいつに盗みをやらせれば、俺は無敵だ。一生あそんでくらせるぞ。」

泥棒は博士の家に乗り込み、博士を縛り付けて気絶させ、ロボットを奪った。


「やあ、ロボット。君には大切な任務を任すぞ。さあ、そこの家に入って金目の物を奪ってくるのだ。」

「了解しました。」

合成音声と共に、鉄の体が動き出す。

数分もすると、ロボットは指輪やら、金属器やらをたんまりと持ってきた。

「よくやった。さっそくこれで金もうけだ。」

「了解しました。」

ロボットは質にそれらを持っていくと、そこでまた金を盗み、泥棒は多大な利益を得た。


「最高だ、酒を持ってこい。」

「了解しました。」

ロボットは酒を持ってきた。

つまみを持ってこいと命令すると、どこからか盗んできて、泥棒に差し出すのだ。


すっかりいい気になった泥棒は、また命令する。

「次は若くて美しい女を誘拐してこい。」

だがロボットは、合成音声で

「それはできません。」

と断るのであった。

「お前、俺に口答えをするのか。ええい、お前なんか死んでしまえ。この役立たずのゴミロボットめ。」


泥棒がロボットをけなすと、ロボットは大きな手で泥棒の頭をわしづかみし、そのまま首を360度ぐるりと曲げた。

「ひどい。そんなこと言わないでください。」


そのころ博士は泥棒を心配していた。



「あのロボットは最高だ。ありとあらゆる機能をつけた。しかしそれゆえに、自分のことを人間と思い込んでしまったようだ。盗みは出来ても、それ以上はできないだろう。それにあの泥棒、あまりにもロボットを挑発したら、人間にもよくあるように、殺人事件へと展開するやもしれない。」

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