犯人は誰

「私の隣の隣の隣の家で、事件がおこったのよ。」

「ええ!どんな。」

「一家全員、皆殺しなんですって。」

「あら、怖いわ。そのお宅、なにかあったのかしら。それとも強盗かしら。」


「それがね、お金も指輪も何にも盗まれていなくて、おまけにあの家はみんな仲良くて、すごくいい人だったのよ。恨まれることなんてないわ。」

「ええ。じゃあどうしてそんな事が起きたの。」

「分からないのよ。警察も、金目の物が盗まれてないんじゃ強盗として片付けられないし、聞きこみ調査なんかもしたらしいんだけど、恨みを買うような人達じゃなかったらしいのよ。」

「かわいそうに。」

「ほんとほんと。それにしても変な話よねえ。」

「ねえ奥さん、私これから行くところがあるの。」

「そうなの。行ってらっしゃい。」

「ごめんね、ありがとう。」


女性は、立ち去った。

すると主婦の隣に、もう1人の主婦仲間がやって来た。


「あら奥さん、あの人と話していたの。」

「あら、こんにちは。そうよ、私の隣の隣の隣の家で事件があってね。一家全員皆殺しなのよ。」

「ええ。そんなことが。あそこの家族はいい人達だったのに。」

「ほんと、謎の多い事件ね。」


「それにしても奥さん、その話はあの人にしてはだめよ。」

「えっ。どうして。」

「あの人、あの家の旦那さんと不倫していたのよ。」

「えっ。」

「それで別れ話を告げられたらしいの。家族のためにならないからって。」

「それで、それで。」


「その時、あの人、あなたに家族がいなければ私達は結ばれていたのにね って言ったそうよ。」

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