願い事
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願い事
振るとどんな願いも叶えてくれる小槌。
磨くと魔人が出てきて三つ願いを叶えてくれるランプ。
七つ揃えると龍神が願いを叶えてくれる球。
世界には人の願いを叶える宝が多々ある。
サリーはそんな宝を求めて探していた。
彼女にはどうしても叶えたい願いがあった。事故で死んでしまった恋人のジョニーを生き返らせる、それが彼女の望みだ。
恋人を蘇生させるため、サリーは長い長い旅を続けた。
ある時は険しい山道を。ある時は荒々しい海を。ある時は罠だらけの遺跡を。
女性一人、決して楽ではない道のりだった。
しかしサリーは諦めなかった。全てはジョニーを生き返らせるため、自分のために。
そしてとうとうサリーは手に入れた。
どんな願いでも二つだけ叶えてくれる、魔法の壷。それを彼女は入手した。
サリーは喜んだ。
そして横取りされないように、誰もやって来ない無人島で、壷の蓋を開けた。
『我を起こし者よ。一つ目の願いを言え。叶えてやる』
壷が喋った。間違いない、これは本物の魔法の壷だとサリーは確信した。
「ジョニーを、私のジョニーを生き返らせて」
『容易いことだ』
壷がそう言うと、壷の中から紫の煙がもくもくと出てきて、それはやがて人の形になった。
それはサリーが長年求め続けたジョニーその人であった。彼はまだ眠っているが、確かに呼吸をしている。
『叶えてやった。さあ、次の願いを言え』
「私とジョニーを不老不死にして! どんなことがあっても死なない身体にして!」
『承知した』
再び壷から煙が舞い上がり、サリーとジョニーの二人を包み込んだ。
しばらくすると煙が消える。
『これでお前達が死ぬことはなくなった。さらばだ』
そう言うと、蓋が勝手に閉まり、壷はどこかへ飛んでいってしまった。
「う、ううん」
「ジョニー!!」
ジョニーが目を覚ます。
寝ぼけ眼だったジョニーは、サリーの顔を見て一気に覚醒する。
「さ、サリー!!? な、なんで……」
「ああ、よかった。本当に生き返った。よかった、これでまた……」
サリーは涙ながらに、こう言った。
「またあなたを虐めることができる……!!」
サリーの願いは叶った。
拷問中の事故で死んでしまった、サリーの不注意で死んでしまったジョニーを生き返らせることに成功した。これでまた彼女は彼を拷問することができるようになった。
そしてもう一つの願いで、二人は不老不死に。
サリーのジョニーへの痛い愛は永遠のものとなった。
誰もいない無人島で、男の恐怖の叫び声が響いた。
願い事 9741 @9741_YS
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