四天王

9741

四天王

「よっしゃ! 四天王の一人を倒したぞ!!」

「不死身のウエストも、聖なる剣の前では無力だったわね」 


 勇者と魔法使いのパーティが、俺の死体を蹴りながら歓喜の声を上げる。 


 ちなみに俺は死んでいない。聖なる剣も確かに痛かったけど、俺には効かなかった。死なないから、不死身なのだ。 


 では何故俺は狸寝入りならぬ狸死入りを決め込んでいるのか。 


 簡単だ、これが俺の役目なのだ。 


 俺の役目は、見極めること。この城に来た勇者様御一行が、魔王を倒せる素質があるか、どうか。 


 もし素質が無さそうなら、俺は不死身の力を駆使して、勇者達を撃退する。


『その程度の実力で魔王様に挑もうなど、百年早いわ』と台詞を叩き付けて。ちなみに、今回の勇者達は中々骨がある。だから俺は勝たせてやったのだ。 


 何故、そんなことをしているのかって? 


 教えよう。 


 元々、俺は魔王討伐の魔法騎士団の団長だった。俺だけじゃない。他の四天王のやつらも、団員だった。 


 そして、俺達四人は魔王を倒しにこの城に来た、万人の騎士を引き連れて。 


 一万と四人。この人数でかかれば魔王も倒せると思っていた。


 だがそれは思い上がりだった。


 一瞬だった。一瞬で魔王は一万の兵を灰に変えた。 


 俺達四人は理解した、俺達ではこいつに勝てないと。 


 そして俺達は人類を裏切り、魔王に忠誠を誓い、魔王直属の四天王となった。 


 だが、心まで魔王に売ったわけではない。 


 俺達は待つことに、未来に託すことにした。いつかの未来、きっと魔王を倒してくれる勇者が現れることを信じて。 


 だから俺達四人はそれまで戦い続ける。たとえ故郷の人々に、裏切り者と罵られようとも。 


 これ以上、犠牲者を出さないために。

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四天王 9741 @9741_YS

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